今週、ぜひ読んでいただきたい1本があります。

発売中のニューズウィーク日本版は、特集「移民の歌」。日本の移民事情について精力的に発信を続けている望月優大(ひろき)さんに、10ぺージのルポを寄稿していただきました。

半年前に海外支局から本帰国して以来、最も気になり、ずっと特集したかったのが、日本による外国人労働者受け入れ拡大問題でした。私も最近までアメリカで「移民」でしたし(国連などの国際機関の定義では、1年以上外国で暮らす人は「移民」だそうです)、この定義で言えばアメリカ含め他国で「移民」として生きている友人がたくさんいるし、国内にも外国人の友がいて、外国人の配偶者と家族をもって暮らしている友人もいます。

日本の「移民」問題はまったく他人事ではなく、今自分が暮らしているこの国が外国人に対してどういう態度をとるのか、また、日本で暮らしている外国人がこの国をどう思っているのか、とても気になっていました。

望月さんがこの問題について誠実に取り組んでらっしゃるのを遠くから見ていて、数か月前に連絡を差し上げ、編集長と副編集長と一緒にお会いしました。Cool head but Warm heartという言葉があるそうですが、初めてお会いする望月さんは、まさにそんな感じの方でした。

これまでウェブ媒体メインで活動されてきた望月さん、紙での長いルポは書いたことがないとおっしゃっていたけれど、私はどうしてもこの問題について望月さんによるルポで読みたくなり、執筆を依頼しました。ルポというのは、人柄が出ます。同じ現場に行き同じものを見ても、何に驚き、心を動かされ、読者に伝えたいと思うかは人によって違う。その意味でも、望月優大さんはこの問題をどう描くのだろう、どういう言葉を紡ぐのだろうと、知りたくなりました。

望月さんにお引き受けいただき、臨時国会がこの問題を審議し始めた11月半ば、横須賀市追浜、福島県郡山、大阪府豊中で取材を敢行しました。私も担当編集としてすべて同行させていただいたのですが、望月さんの取材に対する姿勢にまず敬服しました。取材が終わるごとに話してくれた「雑感」も、1つ1つの言葉が鋭さと優しさに満ちていて、すべて書き留めておきたいくらいでした。

在日28年の日系ペルー人、失踪した技能実習生、技術ビザで働くベトナム人と雇い主の日本人工場長。行く先々で、日本人を含め多くの方たちから話を聴いた望月さんは、長いルポをこう結びました――移民たちのリアルは、私たちのリアルでもある。

今週号の1万2000字には、この国で暮らす「移民」たちの声と、それを聴く望月さんの温かいまなざしがぎっしり詰まっています。ぜひ、お読みいただけると嬉しいです。

――編集部・小暮聡子

※本誌掲載のルポをウェブで全文公開しました(2018年12月17日)> 永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たちの実像



※12月11日号(12月4日発売)は「移民の歌」特集。日本はさらなる外国人労働者を受け入れるべきか? 受け入れ拡大をめぐって国会が紛糾するなか、日本の移民事情について取材を続け発信してきた望月優大氏がルポを寄稿。永住者、失踪者、労働者――今ここに確かに存在する「移民」たちのリアルを追った。