<当初は新型コロナ流行の中心地だった韓国が徹底的な検査で封じ込めに成功、今では120カ国以上が韓国の検査キットを求めている> 韓国は少し前まで新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的な流行)の中心地の1つだったが、現在ではウイルスをうまく封じ込めている。成功の主因は徹底的な検査にあると言えそうだ。 世界中で感染拡大が深刻化している今、韓国にとって自国製のPCR検査キットの輸出は経済的利益につながるだけでなく、長期的な経済的安全保障の確保にも役立つ。 韓国は4月11日までに51万人以上の検査を実施した。最も危機的な状況だった2月下旬~3月上旬には1日に約2万人を検査していたが、最近は1万人以下に減っている。それでも検査キットを製造する韓国企業は現在、少なくとも1日13万5000人分を生産しているので、余剰生産能力を輸出に回すことができる。 3月に韓国企業27社は合計4860万ドル相当の検査キットを輸出した。4月はさらに増えそうだ。これまでに120カ国以上が韓国に検査キットの購入または人道支援による供与を依頼している。 トランプ米大統領も3月24日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談で医療品の援助を要請。韓国企業は現在、コロナウイルスの新たな感染者数が世界で最も多いアメリカからの需要増加の恩恵を受けている。 ロサンゼルス市当局などはシージェン社から2万個の検査キットを125万ドルで購入した。今後は週に10万件の検査を行う予定だ。EDGC社は、複数の州に最大100万人分の検査キットを近日中に納入する予定だ。 アメリカ以外でも、イギリス、フランス、中国、カナダなど15カ国が検査キットなどの医療用品の支援を要請した。イタリアやハンガリーなどのEU諸国とブラジル、日本、アラブ首長国連邦(UAE)には、既に検査キットを納入済みか、または納入契約を結んでいる。 世界的な関心の高まりを受けて、韓国政府は検査キット製造メーカーとの官民連携を強化している。3月26日には、国際貿易と医療・公衆衛生関係の公的機関が国内の生産状況のモニタリングと輸出支援を目的とする特別対策チームを設立。韓国貿易協会は、検査キットなどの医療用品の輸出企業に対する支援に特に力を入れようとしている。 韓国にとって、この医療品輸出は数字以上の大きな恩恵をもたらす可能性がある。検査キットの輸出は、危機に直面している国内経済の成長と雇用創出の絶好の機会だが、それ以上に世界各国の感染拡大防止に貢献できる。 ===== 今回のパンデミックは韓国の対外依存の大きさを浮き彫りにした。それを考えれば、韓国は自分自身を助けるためにも、可能な限り他の国々を支援する必要がある。 需要を満たすため生産を拡大できるかという課題のほかに、検査キットの輸出の遅れや停止を招きかねない問題が2つある。1つ目は、キットの生産に必要な外国からの原材料の供給が滞る可能性。韓国の業界団体は既にこの問題を提起しているが、各国が主要な原材料の備蓄に走れば、状況はさらに悪化しかねない。 2つ目の問題は、普通の日常生活に戻ることへの期待が高まるなかで、政府が今後もウイルスを封じ込め続けることができるかどうかだ。一部には、「危機感の緩み」によって感染者数が再び爆発的に増加する可能性があると警告する向きもある。 もしそうなれば、検査キットの輸出の減少は避けられそうにない。 From thediplomat.com <本誌2020年4月21日号掲載> 【参考記事】日本が韓国の新型コロナウイルス対策から学べること──(1)検査体制 【参考記事】日本におけるPCR検査の拒否状況 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。