<ロックダウンで閉鎖されたドイツ北部の動物園は「最悪の場合」大型肉食獣などに与えるため殺処分にする動物のリストを作成した......> 新型コロナウイルス対策の措置により、ドイツの動物園はすべて3月15日より閉鎖されている。多くの動物園が資金繰りに困るなか、ドイツ北部、ノイミュンスター市の動物園は「最悪の場合」大型肉食獣などに与えるため殺処分にする動物のリストを作成した。 入場料による収入が皆無で、飼料も底をつきそうな同園は現在、寄付金のみで操業している状態だ。「殺処分リスト」の存在を知った市民がフェイスブックで寄付を開始。さらに、20日より規制緩和で動物園も再開できそうだ。このまま最悪の状態を無事脱してくれればいいのだが......。 リストにある動物は殺処分され、クマなどの餌に...... ドイチェ・ヴェレによると、リストにある動物はヤギやシカなどだが、絶滅危惧種はまったく含まれていないと同園は断言している。殺処分された場合、同園のオオヤマネコ、ワシ、および3.6メートルもあるドイツ最大のホッキョクグマ、ヴィートゥスに餌として与えられることになるという。 最悪の場合の非常計画にすぎないと言われているが、「最悪の場合」とは資金不足のために餌となる魚や肉が調達できなくなった場合だ。「収入はゼロなのに、かかるコストは同じだ」と、同園ディレクターのヴェローナ・カスパリは言う。 資金繰りに困っているのはノイミュンスター動物園だけではない。だが、当面利用可能な資金で流動性を維持することが可能なライプツィヒ動物園は、殺処分は考えられないと表明。また、飼料がまだ足りているデュースブルク動物園でも殺処分はなく、かわりに「緊急時対応策として必要不可欠な飼育員」のリストを作り、残りのスタッフを解雇する方針のようだ。 寄付があつまり、規制緩和で再開できそう ベルリンに本拠地を置く動物園協会(VdZ)は政府に1億ユーロの支援を求めている。ノイミュンスター動物園のあるシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州は動物園支援に500万ユーロを約束したが、まだ申請する方法がないという。意図的かどうかはわからないが、「殺処分リスト」の存在は宣伝効果をもたらし、ノイミュンスター動物園のフェイスブックページを通して寄付が集まり、5月中旬までは何とか経営のめどがついたようだ。 またドイツは15日、現在導入中の規制を一部緩和すると発表。バイエルン州などで日程の相違もあるが、衛生管理などの諸条件を満たせば、図書館などの施設および面積が800平方メートル以下の小売店が20日から営業を再開できる。動物園もこれに含まれるようだ。 ===== 動物園は必要か? 動物愛護が盛んなドイツでは動物園の存在に反対の人が多いイメージがある。だが2017年にVdZの依頼でForsa研究施設が実施した調査結果によると、81%のドイツ人が動物園の存在を受け入れ、種を保護するという考えを支持し、動物園を重要な教育機関とみなしているようだ。その理由は、動物園は有益(39%)、種の保存(38%)、外来の動物を体験する機会を提供(25%)などだった。 動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)ドイツ支部によると、動物園での殺処分はめずらしいことではないそうだ。数を公表しているニュルンベルク動物園では、2013年〜15年に毎年最大60頭の「過剰」な動物を殺処分にしたといわれるが、数字を公表しない動物園がほとんどだ。ヨーロッパ動物園・水族館協会(EAZA)は、ヨーロッパの動物園で毎年3,000〜5,000頭が殺処分されていると想定している。 また、今年の元旦にかけ、大晦日恒例の一般市民による花火で、北西部クレフェルトの動物園の近くに住む家族が放ったランタン花火が同園のサル舎に落下、霊長類を中心とした50匹以上の動物が亡くなるという痛ましい事件があったばかりだ。2009年から禁止となっているランタンのような危険な花火を一般市民が簡単に入手できること、および動物園の存在意義について議論が巻き起こったことは記憶に新しい。 ===== German zoo may have to kill animals to prevent them from starving