<外出禁止令の延長に反発した抗議デモを州知事は「人々の命を危険にさらす行為」と批判した> 米ミシガン州では4月15日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外出禁止令の延長に反発した大勢の人が議会を車で取り囲む抗議デモがあった。グレッチェン・ウィットマー知事は、デモは人命を危険にさらすものだったと非難した。 「お先真っ暗作戦」と名づけられたこの抗議デモは、同州の2つの保守系団体が実施。フェイスブックで参加の呼びかけを行った。これを受けて大勢のデモ参加者が州都ランシングにある州議会の周辺に車で集結。「ウイルスより経済が心配だ」「仕事を返せ」「ロックダウン(都市封鎖)を終わらせろ」などと書いたプラカードを掲げて抗議した。 ミシガン州警察の広報担当は、デモ参加者は推定4000人でおおむね「平和的」なものだったと語った。デモ参加者の大半が自分の車の中にとどまり、路上でデモを行った人々は、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)を実践していたという。このデモに参加したことで、外出禁止命令を破ったとして違反切符を切られた人はいなかったが、45歳の男性がほかのデモ参加者に暴力を振るって身柄を拘束されたということだ。 ウイルスの思う壺 ウィットマー(民主党)はMSNBCの番組に出演した中で抗議デモの問題に触れ、デモ参加者たちは州民の命を危険にさらしたと非難。彼らの多くがマスクを着けておらず、中には素手で子どもたちにキャンディを配っていた人もいたと語った。 さらに番組ホストのジョイ・リードが、デモ参加者の一部がドナルド・トランプ大統領や(南北戦争時の)南部連合の旗を振っていたと指摘すると、ウィットマーは、抗議デモは「本質的には政治集会だった」と主張した。 「彼らの目的は、外出禁止命令に抗議することではない。あれは政治集会で、あらゆる科学や外出自粛の必要性を無視するものだった」と彼女は語った。「あれは人々の命を危険にさらす行為だ。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、まさにああやって広まっていくからだ」 「こういう行動をする人がいるからこそ、外出禁止命令が必要なのだ。これはまさに、今起こり得る最悪の事態だった」と主張。ただしミシガン州民の「大半」は外出禁止命令に従っているとも述べ、外出禁止によって人々が困難な生活を強いられているのは理解できるが、健康を危険にさらすことはその解決策にはならないと語った。 <参考記事>トランプ「新型コロナウイルス、武漢の研究所から流出したものか調査中」 <参考記事>新型コロナウイルス、男性の死亡リスクが高い理由 ===== 「多くの人が怒りを抱えているのは知っている。その怒りを私にぶつけるのは構わない」と彼女は語った。「でも公の場に出てきて無責任な行動を取るのは、自分の命を危険にさらすだけだ。救急隊員など非常時の初期対応にあたる人々を危険にさらし、正しいことをしている人々の安全も脅かすことにもなる」 同知事の報道官であるティファニー・ブラウンは本誌に対して、ウィットマーは「公衆衛生と州民の安全を守ること」を最優先にしていると語った。 「ウィットマー知事は、今は多くの人がもどかしさや怒りを感じていることを理解している」とブラウンは語った。「知事はミシガン州民の言論の自由と抗議する権利を支持しているが、抗議デモに参加する人々は、自分自身や非常時の初期対応にあたる人々を危険にさらすべきではない」 州民が知事を訴追も ウィットマーは4月9日、ミシガン州の外出禁止命令を4月30日まで延長することを発表した。州民は通院や軽い運動、食料品の買い出し以外は自宅にとどまらなければならない。集会や移動も制限され、「人々の生活を維持、または守る上で必要な」仕事に就いている人を除く全ての労働者も、自宅にとどまるようにという指示だ。 これを受けて14日、ミシガン州に住む4人が「外出禁止命令は憲法で認められている人権を侵害するものだ」として、ウィットマーを相手取り訴えを起こした。この4人の代理人を務めるデービッド・ヘルムは本誌に対して、ウィットマーによる外出禁止命令の延長は「理不尽」であり「やりすぎ」だと語った。 ミシガン州は米国内で新型コロナウイルスの感染者が最も多い州のひとつで、同州保健省によればこれまでに2万8059人が感染し、1921人が死亡している。 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。