世界保健機関(WHO)にスポットライトが当たっている。新型コロナウイルスとの地球規模の闘いを支える一方で、米トランプ政権からの資金拠出停止に直面しているためだ。 WHOとは何か、何をしているかについて主な点をまとめた。 WHOとは何か 1948年に発足した国連の専門機関。世界の保健衛生レベルの向上を目指す。150カ国にある事務所と6つの地域機関、本部ジュネーブで総勢7000人以上が働く。 事務局長は現在、エチオピア出身のテドロス・アドハノン氏。任期は5年で、テドロス氏の任期は2017年7月1日に始まった。 何をしているか 設立目的に「保健健康を促進し、世界の安全を維持し、弱い者に奉仕する」を掲げる。 各国・地域の政府に対し保健政策を強制する権限はないが、助言役として活動。疾病予防と保健改善に向けた最善の実践について指針を提供する。 主なものは3つある。 ・あらゆる国で、だれもがアクセスできる保健衛生を目指す ・保健衛生の緊急事態を予防し、発生した場合は対応する。 ・すべての人への健康と安心を促進する。 WHOが行わないこと 多くの国際機関と同様、WHOは活動の範囲や使える資源について誤解を受けている。 WHOは「世界の医師」ではない。治療行為や疾病の監視はしない。ただし、そうした事柄について、各国当局ならびに国際的な当局に助言する。 制裁を科す権限はない。発表する情報も、加盟国や専門家から得るデータや専門知識を照合し、発表しているだけだ。 加盟国の状況 加盟国は現在194カ国。リヒテンシュタインは国連には加盟するが、WHOには加盟していない。 WHOの世界保健総会は各加盟国が任命する代表で構成し、年1回開催、WHOの諸方針を定める。総会で毎年改選される執行理事会が実行する。 ===== 誰が拠出するのか 拠出金には義務的な「分担金」と、自発的な「任意拠出金」の2種類がある。WHOの予算は2年制だ。2020-21年予算は約48億5000万ドルで、その前の2年間から9%増えた。 分担金は、加盟国の富や人口など経済規模に応じて計算される。 任意拠出金は、拠出者がしばしば、特定の地域ないし、ポリオ(小児まひ)やマラリア、貧困地域の乳幼児死亡といった特定の疾病・症例への対応を目的に決める。 慈善活動財団や、欧州連合(EU)の欧州委員会といった多国間で構成される機関も主要な拠出者だ。 米国は分担金と任意拠出金と合わせて最大の拠出国で、19年末までに18─19年分として8億ドル超を拠出した。 米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏と妻の慈善団体、「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の拠出額が2番目に多く、3番目は英国だ。 過去の主な成功と失敗 WHOが広く信頼を勝ち取ったのは、1970年代に行った10年に及ぶ天然痘根絶の活動だ。ポリオ根絶の世界的な取り組みも主導しており、これは最終の段階に差し掛かっている。 ここ数年は、コンゴ(旧ザイール)のエボラ出血熱やブラジルのジカ熱に対しても調整役を担っている。 現在の新型コロナでは、WHOの指導力は多方面から称賛されているが、トランプ米大統領からは、中国寄りで、拡大の初期段階に間違った助言をしたと非難されている。 トランプ氏は今週、WHOが「基本的な職務に失敗した」とし、米国の拠出停止を表明した。この発表は世界の多くの指導者から批判を呼んでいる。 WHOは過去に、09─10年の新型インフルエンザ流行に過剰反応したとして非難されたことがある。14年の西アフリカでのエボラ出血熱発生に対しては、十分に迅速な対応をしなかったとの批判が広がった。このときのエボラ出血熱死者はその後、1万1000人を超えた。Kate Kelland [ロンドン ロイター]Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます 【関連記事】 ・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける? ・中国・武漢市、新型コロナウイルス死者数を大幅修正 50%増の3869人へ ・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準 ・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(17日現在)   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。