<感染者の各地域別の存在密度を算出すると、新型コロナウイルスの感染が身近に迫った現状を可視化できる> 新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。4月20日時点の国内の感染者は1万608人で、都道府県別の上位3位は東京3095人、大阪1212人、神奈川784人となっている(厚労省)。 感染者が多いのは都市部の都道府県だが、人口量が多いので当然とも言える。統計分析家の本川裕氏は、人口当たりの感染者数を都道府県別に計算し、東京より福井のほうが比率が高いことを明らかにしている(「新型コロナ感染率ワースト1位は東京ではなく、福井だった」プレジデント・オンライン、2020年3月6日)。病院が少ないことを考えると、地方への避難は必ずしも合理的ではないということだ。 人口当たりの出現率もいいが、怖いのは感染者との接触なので、面積を考慮した感染者の存在密度にするとどうだろう。神奈川県の感染者は784人で、本県の可住面積は1471平方キロだ。後者を前者で割ると、1.9平方キロ(1.4キロ四方)の土地に1人の感染者がいることになる。自転車で動き回る生活圏内に感染者がいるとみていい。 この指標を都道府県別に出し、危険度が高い順に並べると<表1>のようになる。可住面積を感染者数で割った値の平方根だ。 鹿児島では20キロ四方に1人だが、東京では0.7キロ(700メートル)四方に1人となっている。後者では、徒歩圏内に感染者がいる計算だ。感染者は病院やホテル等に隔離されているが、軽症の人は自宅療養になっているし、まだ発覚していない潜伏感染者の存在も考慮すると、現実の危険度を表しているとみていいだろう。 ===== 東京都では、区市町村別の感染者数も公表されている。最も多いのは世田谷区の293人(4月19日時点)で、面積をこれで割って平方根をとると450メートル四方に1人となる。感染者の存在密度が最も高いは新宿区で、280メートル四方に1人だ。潜伏感染者も加えると、100メートル、いや50メートル四方に1人かもしれない。衝撃的な数字で、これだけ見ても不要不急の外出が憚られる。 <図1>は、都内23区の感染者存在密度を地図に落としたものだ。4月8日と4月19日時点の対比だが、わずか10日あまりで事態が深刻化しているのが分かる。色が濃いのは、500メートル四方未満(徒歩圏内)に1人の区で、4月19日時点では半分の区が該当する。来月には、どんな事態になっているのか。 感染者数がアップデートされるたびに人々は震え上がり、外出自粛要請を待たずとも、不要不急の外出は控えるようになっている。緊急事態宣言後の土曜日、JR渋谷駅の利用客(定期券外)は平常時より98%も減ったそうだ。若者は自宅にいるのが苦痛らしく、ついつい繁華街に出てしまうようだが、彼らとて上記のようなデータを見たら感染拡大の現実を認識するかもしれない。データは、どう見せるかも大事だ。 狭い土地に人口が密集した大都市は、感染症のような危機に弱い。東京一極集中の弊害が言われて久しいが、コロナ危機によりそれが露呈してきた。「ポスト・コロナ」の時代には、仕事のオンライン化と同時に、地方移住も進むかもしれない。 <資料:厚労省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況」、 東京都保健福祉局「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について 」> =====