<感染者が増え過ぎて医療現場が対応しきれなくなった場合に誰の命を優先的に救うべきかの指針> 米カリフォルニア州の公衆衛生局は、新型コロナウイルスの感染者が再び増加して同州が医療崩壊の危機に直面した場合、「どの患者を優先的に救うべきか」の指針を38ページの文書にまとめて発表した。 文書には、大勢の患者が一気に病院に押し寄せた場合、医療従事者たちが迫られる辛い選択を列挙している。患者の増加に伴ってベッドや人工呼吸器、防護服などの医療資源が足りなくなった時、いかにして命を振り分けるのか。 同公衆衛生局は各病院に、患者の優先度を判断するためのチームを作ることを推奨する。その上で、医療従事者が決断を迫られた時の基準を挙げる。患者の年齢、重症度、治療しても回復の妨げとなり得る基礎疾患があるか否か──。またウイルスとの戦いに「不可欠な」医療従事者や救急隊員が、ほかの患者より優先的に治療するべき場合もあると示唆している。 命の「優先度スコア」 医療資源が限られるなか、回復が見込めない患者には緩和ケアを行い、死期を延ばすだけにならないよう留意しつつ、症状を最小限に抑えることに集中すべきだとも述べている。 人工呼吸器が足りなくなった場合には、患者に「優先度スコア」をつけて判断を下す。このスコアは1~8点の8段階評価で、救えない場合が多い基礎疾患があるかどうか、などを考慮して決定する。スコアが低いほど治療の優先度は高い。 ロサンゼルス・タイムズ紙の試算では、ある程度進行したアルツハイマー病や慢性的な肺疾患のように「生命を脅かす重大な持病」がある患者は、2ポイントの加算になる可能性があり、これらの病気の症状がさらに重い場合には、それが4ポイントに増える可能性がある。 スコアが同点の場合は、より若い患者が優先される。 カリフォルニア州公衆衛生局は過去数週間にわたって複数の研究結果を検証し、病院や医師、医療関連団体と話し合った上で、今回の文書を作成したということだ。ミネソタ州とコロラド州の保健当局も同様のガイドラインを発表している。 <参考記事>「恐怖の未来が見えた」NYの医師「医療崩壊」前夜を記す日記 <参考記事>日本で医療崩壊は起きるのか? 欧米の事例とデータに基づき緊急提言 ===== 文書は情報とアドバイスの提供のみを目的に作成されたもので、現場の運営管理者や病院の医長、法律顧問や臨床スタッフの「判断に代わるものではない」と強調している。 同公衆衛生局のソニア・エンジェル局長は文書の冒頭に添付した手紙の中で、「州の公衆衛生を担う者として、この内容の重みを強く感じている」と述べている。「この文書を公表することで起こる議論は、とてもつらいものになるだろう」 「4000万人を超える州民の健康としあわせを守る責任を担うプロ集団として、このガイドラインが提供する共通見解は、透明性と相互理解、そして信頼をもたらすものだと確信している。それは、いずれ訪れるかもしれない最大の試練を乗り切るために必要なものだ」 カリフォルニア州は医療崩壊を辛くも免れたように見えるが、警戒を怠るべきではないと、エンジェルは言う。「私たちは新型コロナウイルスが、ほかの州や国の医療体制に壊滅的な打撃をもたらすのを目の当たりにしてきた」 だから今からでもこのガイドラインが必要なのだ、と。 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。