スイス製薬大手ロシュのセベリン・シュワン最高経営責任者(CEO)は22日、市販されている一部の新型コロナウイルス感染の抗体を調べる血液検査キットについて「あてにならない」と酷評した。同社は来月、独自の抗体検査キットを発売する準備を整えている。 抗体検査によって新型コロナへの免疫を獲得した人を特定し、移動制限などの対象から除外できれば、経済活動の再開や医療関係者の安全を保つことにつながる。 ロシュは一部の既存検査製品の信頼性を精査した。その結果に基づき、シュワン氏は偽陽性の結果が示される血液検査キットについて「ひどい。こうした検査には何の価値もないか、ほとんど役に立たない。こうした検査を売り出す一部の企業は倫理的に非常に問題がある」と述べた。 シュワン氏によると、針で指を刺してすぐに結果が判明するタイプなど、現在約100種の検査キットが販売されている。ロシュは調査した具体的な検査製品については明らかにしなかったが、大手検査薬企業のものではないという。 ロシュが発売を計画している血液検査キットは、医師か看護士が採取した静脈内の血液に基づいて判断する。シュワン氏は予想される偽陽性の確率については言及しなかったが、ロシュは新型コロナに感染した身体が作り出した抗体の発見に成功しているので信頼できると説明した。 ロシュの中で目立たなかった診断薬事業部門が、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)で活躍している。検査需要が高まる中、同社は今年の売上高と1株当たりコア利益の伸び率見通しについて、1桁台前半から半ばという従来見通しを維持した。第1・四半期の売上高は前年同期比7%増の151億スイスフラン(155億7000万ドル)だった。 ロシュはこれとは別に、綿棒で鼻腔からサンプルを採取して新型コロナ感染の有無を調べる検査キットも手掛けている。 これらの検査製品はロシュの分子診断薬事業の第1・四半期の売上高を前年同期比29%押し上げた。 ロシュの新型コロナ関連の活動の重点は検査に置かれている。しかし関節リウマチ治療薬「アクテムラ」が、重症患者のサイトカインストーム(過剰な免疫反応)に効果があるかどうかについても試験を行っている。[チューリヒ ロイター]Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます 【関連記事】 ・「新型コロナウイルス第2波、今冬に米国を襲う より大きな影響も」米CDC局長 ・金正恩重体説に飛びつく期待と幻想 ・米ジョージア州が「ロックダウン破り」、濃厚接触でも営業再開を待ちきれず ・日本がコロナ死亡者を過小申告している可能性はあるのか?   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年4月28日号(4月21日発売)は「日本に迫る医療崩壊」特集。コロナ禍の欧州で起きた医療システムの崩壊を、感染者数の急増する日本が避ける方法は? ほか「ポスト・コロナの世界経済はこうなる」など新型コロナ関連記事も多数掲載。