<パンデミックが地方に及ぶのを前に、地域で唯一の病院が突然閉鎖するケースが続出。コロナ患者が入院すると利益が上がらないからだ、と地元議員は批判する> 新型コロナウイルス感染症がアメリカの都市部から地方に迫るにつれて、突然、患者を転院させ従業員を解雇して閉じてしまう地方病院が増えている。新型コロナの患者が押し寄せてくれば、ただでさえ人口減少と高齢化で採算が悪化している病院経営が持たなくなる、というのがその理由だ。 テネシー州では4月中旬、人口1万2000人の町のただ一つの病院が閉鎖。2020年に入って同州だけで9件目だ。全米では、すでに200の地方病院が閉鎖したともいわれ、地元住民はもし町に新型コロナがきたら、と不安に怯えている。 ミシガン州選出のラシダ・トライブ下院議員(民主党)は先日、同じくミシガン州選出のデビー・デインゲル下院議員とともに、デトロイト地域の8つの病院を経営するボーモント・ヘルスに対し、ミシガン州ウエインの病院を突然、閉鎖した理由を問い合わせた。 ウエインの病院は、新型コロナウイルス感染症専門の病院に指定されていた。それが4月初め、それまでに入院した新型コロナの患者19人を退院させるか転院させて、「一時的に閉鎖する」とだけ発表して閉鎖した。 「(新型コロナの)病人の治療は利益が出ないから、病院を閉鎖するのだ」とトライブは言った。「COVID-19専門病院になったら、金は稼げない。病院を閉鎖するのは、実際に病人の治療をしなければならないから。高額の手術やその他の利潤追求の医療から利益を得ることができいからだ」 <参考記事>日本がコロナ死亡者を過小申告している可能性はあるのか? <参考記事>コロナ禍、スーパーで安全に買い物をするには ===== ミシガン州保健病院協会(MHHA)によると、同州の病院は全体で4月3日までに推定6億ドルの損失を被った。医療施設はCOVID-19患者の治療に使用される機器と備品に1億5000万ドル以上を費やしている。特に、無保険者は大変だ。ある調査機関の試算では、無保険の患者が入院して4日間人工呼吸器を使用すると、病院には約4万ドルの費用がかかるという。 トライブは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でアメリカの医療制度における人種差別と富の格差が明らかになったと主張する。その背後にあるのが、営利企業としての病院の利益第一主義があると批判した。 議員もトランプ政権も、企業のふところを肥やしながら、下層および中流のアメリカ人に「背を向けて」いると非難した。新型コロナウイルス大流行のさなかに病院の閉鎖が続いているのは、「パンデミックの病人の治療をしても利益がない」からだと指摘。だからこそ、国として皆保険制度が必要なのだと語った。 (翻訳:栗原紀子) ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。