<全国の都道府県別の大学進学率を見てみると、東京の73%と岩手の38%では約2倍の格差が付いている> 大学入試改革が物議をかもしているが、大学入試とは、大学教育を受けるに足る学力があるかどうかを判定するものだ。常識的に考えれば、学力水準が高い集団の大学進学率が高いように思えるが、現実はそうではない。 都道府県別の大学進学率を見るとどうだろう。各県の高校出身の大学入学者数を、推定18歳人口(3年前の中学校、中等教育前期課程卒業者数)で割ってみると、東京の73.3%から岩手の38.1%まで、かなりの開きがある(2019年春)。倍近い開きで、日本国内でこれだけの格差があるのかと驚かされる。 2019年春に大学に入った世代は、2012年に小学校6年生だったことになる。当時の公立小学校6年生の算数学力と関連付けてみると、<図1>のようになる。横軸に算数Bの平均正答率、縦軸に大学進学率をとった座標上に、47都道府県を配置したグラフだ。 2つの指標の間には、おおむねプラスの相関関係が認められる。しかし傾向から外れた県もあり、秋田は学力首位にもかかわらず大学進学率は低い。北陸の3県も学力は高いが、大学進学率は全国平均(点線)に達していない。 能力とは別の要因が働いている。まず考えられるのは経済力だ。大学教育を受けるには多額の費用がかかるが。親世代(45~54歳)の有配偶男性の平均所得を出すと、東京の761万円に対して秋田は489万円しかない(総務省『就業構造基本調査』2017年)。地方では自宅から通える大学が少ない(ない)ので、下宿の費用も加わる。家庭の所得が低いのに、学費と下宿費のダブルの負担を強いられる。能力や志があっても、大学進学を断念する生徒は少なくないだろう。地方に埋もれた才能の存在を感じさせる。 ===== 上の<図2>に示したように、各県の大学進学率は、父親世代の所得と強く相関している。相関係数は+0.7724にもなる。先の<図1>と並べてみると、各県からの大学進学チャンスは、能力よりも経済力に規定されている印象すら受ける。 教育基本法第4条は「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と定めている。だが高等教育段階では、経済力や居住地域に応じた教育機会の配分になってしまっている。 今年度から住民税非課税世帯の大学の学費は実質無償になり、それに準じる低所得世帯の学費も減額されることになった。返済義務のない給付型奨学金も導入されている。加えて、地方出身の下宿学生への補助も考えられていいだろう。東京大学は女子学生の家賃補助を行っているが、地方の優秀な女子学生を呼び寄せる上で有効だ。教育の機会均等を実現させるには、地域的なハンディの克服も視野に入れなければならない。 <資料:文科省『全国学力・学習状況調査』(2012年度)、 文科省『学校基本調査』(2019年度)、 総務省『就業構造基本調査』(2017年)> =====