<感染予防のため工場の閉鎖継続を求める地元当局の指示に逆らって、操業再開を強行したテスラ。経済再開優先のトランプもこれを後押しする> 電気自動車(EV)大手テスラが、工場の所在地であるカリフォルニア州のアラメダ郡ともめている。新型コロナウイルス感染拡大対策として工場の閉鎖を命じる郡当局に逆らって、操業を再開したからだ。企業が自治体の命令に逆らって操業を強行するのは極めて異例。テスラが自治体と揉めているのを好機と見た他の自治体からは、熱心な誘致の声もかかっている。 この戦いに、感染対策より経済再開を優先するドナルド・トランプ大統領とスティーブ・ムニューシン財務長官も参戦。テスラを応援する。トランプは12日朝、「カリフォルニア州は今こそ、テスラに工場を再開させるべきだ」とツイートした。「迅速かつ安全に再開されるべきだ!」 ムニューシンも11日にCNBCの番組に出演した際、アラメダ郡の指示に逆らってフリーモントの工場を再開し、郡に対する差し止め訴訟を起こしたマスクを支持した。 「私はイーロン・マスクに同意する」と、ムニューシンは、テスラの創業者にしてCEOのマスクによる工場再開の試みについて触れた。「マスクはカリフォルニアで最大の雇用者であり、製造業者でもある。カリフォルニア州はテスラが早く工場を再開できるように、新型コロナウイルスがらみの健康問題の解決に優先的に取り組むべきだ」 各地から移転を誘う声 11日、マスクがフリーモント工場の操業再開を発表する数分前、テキサス州グレッグ・アボット知事は、テキサス州に本社を移転してはどうかと、現在はシリコンバレーを拠点とするテスラに提案した。 「テスラの本社をネバダかテキサスに移転すれば、マスクは数十億ドルの税金を節約できるだろう」と、アボットはツイッターに投降した。 その数時間後、ネバダ州ラスベガス市のミッチェル・フィオーレ臨時市長は、テスラにネバダ・シティを本社の移転場所としてテスラに提案した。 「カリフォルニアにある工場の移転先を探しているなら、ここラスベガスの隣人は両手を広げてテスラを歓迎する」と、フィオーレはマスクに宛てた声明で述べた。もちろん、節税効果も並べ立てた。 「この地区には、どんな工場のニーズにも対応できる十分な土地がある。土地がすばらしいだけではなく、ビジネスに適した税制や規制構造も提供できる」と彼女は続けた。「さらに重要なのは、手頃な生活費ではるかに高い質の生活を従業員に提供できることだ」 こうした申し出が相次ぐ一方、新型コロナウイルス対策として都市封鎖を延長したアラメダ郡とマスクの間で緊張が高まっている。 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は州レベルでは製造業の再開を認めているが、郡や市などの自治体は事業再開にむけて独自のスケジュールを決定できる。テスラの工場があるアラメダ郡の当局は公衆衛生上のリスクが大きいとして5月末まで外出禁止令を延長した。 <参考記事>日本はコロナ危機ではなく人災だ ===== 11日にテスラが勝手に工場が再開したことを知ると、郡の保健当局はテスラに郡の規制遵守を求める声明を発表し、規制に従わない場合は「さらなる強制措置」をとる可能性があると述べた。 ニューサムは11日の記者会見で、マスクがフリーモントの工場を再開するつもりだったことを知らなかったと語った。だが迅速な操業再開に向けて、テスラと話し合いを続けてほしいと軍に譲歩を促した。 「テスラに関していえば、私は以前からずっと同社を支持し、その技術を早期に導入した。会社をよく知っているだけでなく、創業者とも長年のつきあいだ」と、ニューサムは言った。「私はテスラのテクノロジー、革新的な精神、リーダーシップに敬意を抱いている。また、郡のレベルで、テスラとの問題を数日中に解決できるのではないかと大いに期待している」 テスラを引き留めるために必死のカリフォルニア州や、誘致に熱意を見せる他の州の前で、アラメダ郡はどんな判断を下すのか注目だ。 (翻訳:栗原紀子) ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年5月19日号(5月12日発売)は「リモートワークの理想と現実」特集。快適性・安全性・効率性を高める方法は? 新型コロナで実現した「理想の働き方」はこのまま一気に普及するのか? 在宅勤務「先進国」アメリカからの最新報告。