<感染拡大からの抑え込み、規制緩和とクラスター発生。先行する韓国に日本が見習うところは?> これまでユニークなアイデアと、徹底的な感染ルートの情報公開で新型コロナウイルスの抑え込みを成功させ、世界から注目を浴びていた韓国。しかし、今月6日に「緩和した社会的距離の確保」から「生活の中の距離確保」に切り替え、規制を緩めたとたんに梨泰院のクラブからのクラスター発生が明るみになってしまった。これまで減少していた感染者数も残念ながらまた増え始め、感染第2波も囁かれる始末だ。 一方、日本でも今月末まで延期された緊急事態宣言が、一部特定警戒の地域も含めて39県で解除された。この感染予防のための規制が少し緩和された後、どのように日常生活を取り戻していけばいいのか。韓国のように感染第2波の懸念に怯えないためには何に気を付ければいいのだろうか。 韓国が定めた社会的な感染予防策 韓国政府は「生活の中の距離確保」として、「1日2回以上の換気/消毒」「体調不良時には3〜4日家で休む」など、日々の生活の中での5つの基本的な感染予防策の徹底を求めているが、それ以外に、仕事場や公共施設などでの注意点を31の項目に分けて発表した。 これによると、例えば、会社の中ではできれば2m(最短でも1m)の間隔をあけ、キーボード、電話機などは1日2回の消毒が望ましいとされている。 ほかにも様々な注意点が記されているが、韓国らしいものといえば、韓国の大型スーパーに行くと試食や実演販売が行われていることが多いが、飛沫感染の可能性が高まるため、館内アナウンスや看板で代用するようにと記載されている。 また結婚式では、握手やハグはやめて目礼が推奨されている。韓国は握手文化が根付いていて、近い間柄ではハグもよく行われるが、これも禁止行為とされた。 ジムなど屋内スポーツ施設では、指導者と利用者はマスク着用が勧められている。ただ、マスクを着用しながらの運動は息苦しそうで、どこまで守られるのかその実効性は難しいところだ。 その他、映画館やカラオケ等、様々な業種ごとに感染対策が記されているが、そのどれにも共通しているのが換気と消毒、2m(最低でも1m)の間隔をあけることが望ましいという点だ。 【関連記事】 ・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し ・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ ・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測 ・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに   ===== ソウル中心部の大型教会では、入口に信者が事前に登録したカードの読み取り機を設置。通常の3分の1に入場する信者を制限してミサを行っている。KBS News / YouTube クラスター発生しやすい教会の対策 韓国は、道を歩けば屋根に十字架の付いた教会をすぐに見つけられるほどクリスチャンの多い国だ。また韓国の感染拡大の始まりがキリスト系新興宗教団体でのクラスターだったこともあり、宗教施設の再開は注目を浴びていた。 これまでの規制期間中は、オンラインやドライブスルーのミサなど、韓国らしい独特なアイデアを実施して注目されていたが、規制が緩和され実際に教会に集まるようになると、マスクの着用、手指の消毒や手袋の使用、入場時の体温チェックなどはもちろん、バーコードでの入場管理まで導入する教会も登場した。 ソウル市汝矣島に位置する聖堂では、バーコード付きの信者カードを配布し、入退場を管理している。教会内では2m間隔を確保するため、座る位置にもステッカーで目印がつけられ距離が分かるように工夫された。また、芸能人も多く訪れる大型教会として有名なソウルの純福音教会では、純福音教会出席管理システムという独自システムを導入し、「聖徒登録証」と呼ばれるメンバーカードを機械にかざして入場できる方法を取っている。 映画祭はネットとリアルのハイブリッド開催 韓国と言えば、一年中大小さまざまな映画祭が行われているが、三大映画祭の一つ全州国際映画祭は、前代未聞の無観客映画祭の実施を発表し話題を呼んでいる。本来なら毎年4月末頃に全州市で開催していた映画祭だったが、今年は新型コロナ感染拡大のために5月末開催へと1カ月延期が決定していた。しかし、全体的な開催リスクを考慮し、今回の無観客での開催決定が発表された。全州映画祭によると、無観客国際映画祭は世界で初の試みだという。 開幕式の華であるレッドカーペットやゲストの招待、各種イベントはすべてキャンセルされ、映画の上映はオンラインで行われる。コンペティション部門については、審査員たちがオフラインで映画館に集まり、審査のためだけの上映をして選考するそうだ。 さらに、映画祭期間終了後、今回の招待映画を順番に一般映画館で上映すると約束している。今年全州映画祭で上映が予定されていた映画の本数は200本を超えるが、6月上旬から9月末にかけて順番にすべての映画を公開することが目標だと語っている。 【関連記事】 ・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し ・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ ・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測 ・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに   ===== 映画館ではドリンクやフードの受け取りをロッカー形式にするところも。연합뉴스TV / YouTube 3密となる映画館での対策は? 日本でも、映画館の救済を呼び掛けるSNSの投稿をよく見かけるようになった。閉鎖されたイメージの強い映画館では、いくら館内換気や消毒が行き届いていると言われても避けがちになってしまうのだろう。 韓国ではUn-tact=非接触サービス(Un+接触のcontactで接触無しの意味の造語)がキーワードになっている。コロナ禍が始まる以前から映画館の無人化が進んでいた韓国では、既に体制が整っていたので、映画を観て映画館を出るまで完全無人化も容易に実現可能となった。 これまでチケット購入からフードドリンクの注文までスマートフォンやPCからすでに出来るようになっていたが、一部CGV系列のシネコンで開始されていた劇場入口のチケットもぎりの無人化も今回の新型コロナの拡大で広まっている。チケットのオンライン購入は、万が一にも映画館をもとにしたクラスターが発生したときにも、濃厚接触者の調査追跡を可能にするという点で推奨されているようだ。 また、映画館側は対策として、1日2回場内を消毒するほか、通常朝から夜まで平均的に6~7回上映していたものを、当分は4回程度に上映回数を抑える方針だ。 各シネコンチェーンの対策を見てみると、ロッテシネマでは、客席を左右2席分を空席配置にする。またメガボックスは、奇数の座席番号は購入できないようにして、やはり左右に空席を設ける。一方、配給会社NEWが経営するシネQ系列の映画館では、座席予約をする際、選んだ席の前後左右4席も同時に予約されたことになり、周りに人が座れないように工夫されている。 貸し切りイベントなどのプロモーションも 各シネコンともこうした感染対策を実施して営業再開するが、しばらくは利益落ち込みが続くとみられ、行政機関である映画振興委員会は、映画6000ウォン割引クーポン133万枚配布を実施している。また、先月中旬には、CGVとメガボックスが、特に客足が遠のいて売上が落ち込んでいる数館を中心に、約3千円で映画館を貸し切りできるイベントを開始して話題となった。 博物館などの公共施設も次々と再開が報告されている。ソウル・龍山に位置する戦争記念館では、顔面認識システムが導入された。これは、来場者の顔をカメラで認識して、マスクの着用の有無を確認すると同時に体温も測定。また入出場をチェックして館内にいる入場者数の管理も行っているという。 ハイテクシステムを次々に導入し、このコロナ禍によってそれを定着させようとしている韓国。感染拡大が始まった頃からドライブスルー方式や、電話ボックスのような完全接触無しの状態での診察など、ユニークなアイディアを生み出し世界から注目を浴びた。 これからやってくるポストコロナ時代に向けて、日本でも感染第2波のクラスターを発生させることなく外出自粛や営業自粛などの規制解除を行うため、良い例も悪い例もひっくるめて韓国に学ぶことは多いのではないだろうか。 【関連記事】 ・緩むとこうなる?制限緩和を試みた韓国にコロナのしっぺ返し ・東京都、新型コロナウイルス新規感染10人 3月下旬以来の少なさ ・WHO、複数の新型コロナウイルス治療薬に注目 ワクチン開発は難航と予測 ・韓国・梨泰院のクラスター、新型コロナ感染102名に ゲイの濃厚接触者の追跡がネックに   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年5月19日号(5月12日発売)は「リモートワークの理想と現実」特集。快適性・安全性・効率性を高める方法は? 新型コロナで実現した「理想の働き方」はこのまま一気に普及するのか? 在宅勤務「先進国」アメリカからの最新報告。 ===== 教会や寺院での感染予防の取り組み キリスト教の教会や仏教寺院ではさまざまな感染予防策を取り入れて集会を再会している。□ KBS News / YouTube 映画館ではドリンクの受け渡しなど無人化 スタッフの省力化、少人数化のため韓国の映画館はコロナ以前から無人化が進んでいる。 연합뉴스TV / YouTube