<元慰安婦を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)と前理事長で4月の総選挙で当選した尹美香(ユン・ミヒャン)氏の不正疑惑が問題となっている...> ソウル西部地方検察庁は2020年5月20日、元慰安婦を支援する市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)と前理事長で4月の総選挙で当選した尹美香(ユン・ミヒャン)氏の不正疑惑の捜査に着手した。 元慰安婦が正義連の会計に疑問を提起し、慰安婦問題の解決に役立たない水曜集会はなくすべきだと批判した。正義連は5月13日に主催した定例の水曜集会で寄付金の横領や流用はなかったと主張したが、次々と疑惑が浮上し、地検が捜査に乗り出したのだ。野党の一部は尹氏の議員辞職を求めるが、氏が所属する与党は事実関係の確認が先という立場を取っている。 元慰安婦の李容洙さんが告発 正義記憶連帯(旧韓国挺身隊問題対策協議会、以下、挺対協)は慰安婦問題が浮上した直後の1992年から毎週日本大使館前でデモを主催。2011年12月には大使館前に慰安婦像を設置し、韓国内外で慰安婦像の設置を推進して、慰安婦問題に関する諸場面で中心的な役割を担ってきた。そして代表の尹美香氏は2020年4月の国会選挙に与党から出馬して当選した。 5月7日、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さんが、団体に寄せられた義援金が元慰安婦のために使われていないと提起した。李さんは水曜集会に参加し、2007年と15年に渡米して慰安婦問題を訴えるなど、積極的な活動を行なってきた元慰安婦だ。 李さんはまた、憎しみだけを教える集会は教育にもならず、集会をなくすべきだと批判した。関連団体が出版した慰安婦の事例をまとめた本も「内容が検証されていない」と主張する。 補助金、寄附金をめぐって相次ぐトラブル 2015年、日韓両政府は慰安婦問題で合意し、日本政府が10億円を拠出して「和解・癒やし財団」が設立されたが、正義連の前身である挺対協は、元慰安婦と家族に財団の支援金を受け取らないよう説得した。1995年、当時の村山政権がアジア女性基金を主導したときも反対運動を展開し、挺対協の働きかけで、基金から償い金を受け取った元慰安婦は韓国政府の支援対象から外されている。 元慰安婦の故沈美子(シム・ミジャ)さんら元慰安婦13人が、2004年、挺対協が慰安婦のためになっていないとし、挺対協とナヌムの家に対する「募金行為およびデモ動員禁止仮処分」を裁判所に申請している。沈さんは、日本の最高裁から最初に認定を受けた元慰安婦だが、韓国政府の支援対象から外され、名簿からも除外された。 ===== 2015年12月の合意時点で生存していた元慰安婦47人のうち支援金を受け取ったのは34人で、元慰安婦の共同生活施設「ナヌムの家」に入居する11人は支援金を申請しなかった。「ナヌムの家」は仏教宗派の曹渓宗が運営する施設だが、19年に寄せられた義援金25億ウォンのうち、元慰安婦のための支出は6400万ウォンに過ぎなかったと職員が告発している。残る2人の元慰安婦は受領前に財団が解散したため、支援金を受け取っていない。 挺対協は2018年7月、正義記憶連帯(2016年設立)と統合した後も別法人として存続している。挺対協は外交部を主務官庁とし、統合後の2018年8月以降も政府や自治体から補助金を受け取り、寄付金を募っている。正義連の主務官庁は国家人権委員会だが、2020年度、挺対協は1億700万ウォン、正義連は5億1500万ウォンの政府補助金を受給しており、二重取りという声があがっている。 挺対協は2018年3月、元慰安婦のアン・チョムスンさんが亡くなった際に現金4億7594万ウォンを支出したと国税庁に申告したが、公示された月別収支の合計は約4億690万ウォンで、アンさんに支給したとする金額が1年間の支出総額を上回っていた。 正義連も2018年度、5億6470万ウォンの寄付金を支出したと国税庁に申告したが、公示された事業支出の合計は3億2453万ウォンで、2億4017万ウォンの差が生じている。2019年にも8億6226万ウォンを支出したと国税庁に申告したが、公示の内訳合計は8億558万ウォンだった。 慰安婦でカネを稼いだと批判 韓国挺身隊問題対策釜山協議会の金文淑(キム・ムンスク)会長は、尹美香氏を慰安婦でカネを稼いだと批判する。尹美香氏が代表になって以降、元慰安婦を前面に出して金儲けをする団体になったという。正義連が18年に慰安婦に支出した額は募金総額の1.9%にあたる2320万ウォンに過ぎず、19年も3%のみだった。 公益団体は不正を防ぐため、法人口座を使用するが、正義連はSNSで募った寄付金を尹美香代表の個人口座で受け取っていた。寄付金集めに利用した個人口座は3つあり、選挙に出馬する直前まで使っていた。 国会選挙で尹美香氏を推した与党・共に民主党は、事実関係の確認が先だとして立場を留保している。告発した李容洙さんは、2019年3月1日に政府が主催した三・一運動100周年行事で金正淑大統領夫人の隣に着座するなど文政権の慰安婦政策で果たす役割は小さくない。青瓦台(大統領府)は沈黙を続けている。 =====