米中西部ミネソタ州で発生した白人警官の暴行による黒人男性死亡事件を受けた抗議活動が全国に拡大する中、トランプ米大統領は2日、州兵(ナショナルガード)を動員して事態の収拾を図るという自身の提案に従わなかったとして各州の州知事を非難し、ニューヨーク市に混乱収拾のため州兵を動員するよう要求した。全米各地では2日夜もデモが続くとみられ、数十の都市で夜間外出禁止令が敷かれている。州兵トップによると、1万8000人の州兵が29州で地元警察などの支援にあたっている。抗議デモが各地で激化する中、1日夜にはデモ隊に対応していた警官が銃で撃たれる事態がセントルイスとラスベガスで発生。セントルイスでは警官4人が撃たれ、ラスベガスでは警官1人が撃たれた。このほかニューヨーク市では高級百貨店が略奪に遭うなど、混乱は広がっている。トランプ大統領は1日、デモに対する市長や州知事の対応を批判し、暴力の鎮圧に米軍の動員も辞さない構えを示した。首都ワシントンに数千人の重武装兵や警察を動員するとし、市長や知事が事態を収拾できなければその他都市でも同様の措置を取ると表明した。2日にはツイッターに「ニューヨークは略奪者や極左勢力のほか、まっとうでないあらゆる種類の人間に乗っ取られた。(ニューヨーク州のクオモ)州知事は州兵動員の提案を拒否しており、ニューヨーク市はずたずたにされた」と投稿。「ニューヨーク市は州兵を動員せよ。直ちに行動せよ!」とも書き込んだ。クオモ知事は1日夜にニューヨーク市で発生した暴動と略奪に憤りを覚えているとし、ニューヨーク市のデブラシオ市長は事態を過小評価していた可能性があると指摘した。その上で、1万3000人の州兵が待機状態にあることを明らかにし、合計3万8000人強の態勢でニューヨーク市の事態の沈静化は可能と述べた。また、トランプ大統領は抗議活動参加者と違法な略奪者を一緒に扱おうとしているとの見方も示した。デブラシオ市長は、ニューヨーク市での州兵動員に反対する立場を表明。市内の混雑した状況に対応する訓練を受けていない州兵が介入すれば「恐ろしいことが起きる恐れがある」と述べた。デモに対するトランプ大統領の対応を巡っては、国の結束を呼び掛け根本的な問題の解決を目指す代わりに衝突や人種間の対立をあおっているとの批判が出ている。2016年大統領選でトランプ陣営のアドバイザーを務めたジェーソン・ミラー氏は「法と秩序を重視するトランプ大統領の対応は正しい。大統領は慰め役として雇われているわけではない」と述べた。一方、大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は2日、トランプ大統領の対応を強く非難し、自身は米国における人種の分裂を癒やすことにコミットすると強調した。*内容を追加します。[ロイター]Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル