<全米の黒人差別抗議運動に同調して、ヨーロッパ、ドイツでもデモが多発している。これにより新型コロナの感染増加も懸念されている......> 米ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏が警官に殺害された事件を受け全米で抗議運動が拡大しているが、ヨーロッパでもベルリンやロンドン、コペンハーゲンなどで共感と同調を示すデモが行われた。 ベルリンでは5月31日日曜日、約1500人が市街に集結。警察による暴力と人種差別に異議を唱えた。ドイツでは先月より新型コロナ対策措置が徐々に緩和されており、とくにベルリンでさまざまな集会やデモが多発している。「密集・密接」から新たな感染増加を心配する声もある。 100人の登録が1500人に 聖霊降臨の連休であった先週末、ベルリンでは多くのデモが行われた。30日土曜日の夕方にはアメリカ大使館前に約2000人が集結、また31日日曜日には市街に1500人が集まり、警察による暴力と人種差別に抗議した。 日曜日の集会はもともと個人が100人の参加者で事前申請していたものだった(この時点の新型コロナ対策で集会は100人まで)。だが、午前中すでに200人が集結。最終的には1500人までふくれあがり、警備のため出動した警察隊は600人もの救急隊員を伴った。 「黒人のドイツ人」という概念はありえない 歴史教育が徹底しているドイツでは、極右の人種差別主義者が未だに存在する一方で、それを断固として許さない勢力も強い。アメリカの動きに敏感に反応したのもごく自然なことだ。デモ参加者には白人も多い。しかし、「それだけでは不十分だ」とBlack Lives Matter活動家のヨセフィーネ・アプラク氏はツァイト・オンラインのインタビューに答えている。 「たとえばアメリカでは、黒人もアメリカ市民であることは間違いない。アフリカ系アメリカ人という言葉も普通だ。一方、ドイツの黒人は何世代たってもドイツ人とは認められない。多くの人にとってアフリカ系ドイツ人という言葉は矛盾であり、彼らの論理では、同時に黒人とドイツ人であることはあり得ない」と指摘する。 インタビュアーはこれに対し、路上で黒人が撃たれるような国(アメリカ)がモデルになるとは思えない、と反論している。アジア系ドイツ人のようだが、どうもアプラクの論点がピンとこないようだ。アプラクの指摘するのは日常に潜む、アイデンティティそのものを否定するカジュアル・レイシズムのことだ。カナダとドイツの両方で暮らした筆者はアプラクの指摘に共感できる。カジュアル・レイシズムの典型的な質問といえばWhere are you (really) from? 「(本当は)どこの出身?」があるが、これに対してはメルケル首相も直ちに止めるべきだとし、黒人俳優には犯罪者役しかまわってこないなどの問題点を指摘している。Angela Merkel bringing to light the problems still being faced by those with an immigrant background whose heritage can only be derived through their skin pigmentation. pic.twitter.com/pML3RSnLz8— Brexit Bin #NotMyBrexit (@BrexitBin) March 3, 2020 Black Lives Matter の支社はベルリンにもあり、今回だけでなく過去にも抗議デモを行っている。 ===== 制限緩和により増える各種デモ 週末のデモ隊は "I can't breathe," "Justice for George Floyd"など世界共通となったスローガンを掲げ、比較的穏やかに行進したが、マスク着用や1.5メートルの身体距離の確保が守られたとは言い難い。 ベルリンでは土曜日だけでも約30のデモがあった。一時期頻発し千人規模の群衆を集めた、新型コロナ対策に反発し陰謀説を唱える「衛生デモ」あるいは「コロナデモ」などは80〜100人程度の小規模なものにとどまったようだが、一部で極右勢力にあおられた約250人のデモがあったようだ。 また日曜日には、ナイトクラブや音楽業界をサポートする名目で企画された抗議集会で約1500人の若者が集結(こちらも当初の申請は100人だった)。だが結局、市内を流れるシュプレー川に300〜400のゴムボートが浮かび、上半身裸の若者たちが大音量で音楽を流す「水上レイヴパーティー」となってしまった。川岸にいた人も含めると3000人ほどが関わったと言われている。警察が出動した結果、騒音と、身体距離が確保されていないことなどから、イベントは終焉となった。 だが、川沿いの病院では今も新型コロナ感染者の治療が行われている。イエンス・シュパーン保健相が約束した医療従事者への「コロナ・ボーナス」もまだ一部にしか行き渡っておらず、8万〜10万もの人員不足といわれる過酷な条件のなかで懸命に治療にあたる医療従事者を尻目に行われた無神経な騒音パーティーに、集中治療看護師の一人が怒りを表すとともに、騒音が患者に与えた影響を心配している。 ===== George Floyd death: Protesters rally in Berlin, London in solidarity with U.S.