<先月、メルケルの電子メールアカウントにロシアのスパイがアクセスしたことが発覚。相次ぐロシアのハッキングにEUの新サイバー制裁制度の適用が検討された......> 3日、ブリュッセルでの会合で、先月明るみに出たロシアによるドイツ連邦議会ハッキングに対するEUの新サイバー制裁制度の適用が検討された。新型コロナ対策措置の接触制限が3月から続いていたが、初めての対面会議となった。 参加外交官によるとドイツは、EU制裁システムを発動し、ロシア軍事情報局長とそのスパイの欧州内移動禁止と資産凍結を求めている(ポリティコ)。EU加盟国がサイバー攻撃に関与する個人に制裁を加えられるようにする昨年5月に誕生したシステムだが、実際に発動されたことはまだない。全加盟国の承認が必要だが、今年後半に制裁が実現すれば、長期にわたるEUのサイバー攻撃対策の大きな転換期となりそうだ。 ロシアのスパイが、メルケルの電子メールアカウントにアクセス ドイツのメルケル首相は先月13日、ロシアによるドイツ連邦議会および自身に対する「言語道断な」ハッキング行為の「確固たる証拠」を入手、国としてこれを「見過ごすわけにはいかない」と宣言し、EUに協力を求めた。「毎日ロシアとのより良い協力関係を築こうと努力する一方で、ロシア軍がこのような行為に関わっている確かな証拠があることを知る。正直、苦痛だ」と、憤りを露にした。 ドイツ各紙が報じたところによると、首相は2015年5月8日、第二次世界大戦終結70周年の記念式典に各国から大使などゲストを招待した。その中に紛れ込んだロシアのスパイが、メルケルの電子メールアカウントおよび連邦議会の情報にアクセスしたという。 この人物はディミトリー・バディン(29)と伝えられており、2016年の米大統領選で民主党に対しサイバー攻撃を仕掛けた容疑でFBIから指名されている人物と同一と見られている。バディンが2015年当時GRU(ロシア軍事諜報局)内のAPT 28またはファンシーベアとして知られるハッカーグループのメンバーであった確かな証拠があがったため、ドイツ検察は先週バディンの逮捕状を発行した。 FBIから指名されているディミトリー・バディン どのようなデータが盗まれたのは不明だが、事件の象徴するものは大きい。ベルリンのシンクタンク「財団 新責任」の研究員ユリア・シェッツェは「これはメルケル首相にとって重要なことだ。彼女自身影響を受け、他の多くの議員も影響を受けた」とポリティコに語っている。 ===== 年々募るロシアへの不安 EUはサイバーセキュリティに関しロシアへの不信感を年々募らせている。今年2月にはフランスのマクロン大統領も、EU諸国の選挙へのロシアの関与を警告している。EU諸国はロシアのハッカー集団に対する制裁について検討していたようだが、パンデミック発生により滞っていた。 加盟国がサイバー攻撃に関与する個人や団体に制裁を加えられるようにするシステムは昨年5月に誕生したが、実際に発動されたことはまだない。全27加盟国の承認に時間がかかるが、今年後半に制裁が実現すれば、長期にわたるEUのサイバー攻撃対策の大きな転換期となりそうだ。 今回、ロシア軍事情報局長やバディン個人のみが制裁の対象となるのか、それともGRUやファンシーベアのようなより大きな組織に影響を与える制裁パッケージが用意されるのかは不明だ。ドイツ当局は、ベルリンのロシア大使館に登録されている外交官の3分の1がGRUに関係していると睨んでいる。しかし、在ベルリンロシア大使館はすべての容疑を否認している。 ===== Merkel says Germany has 'hard evidence' of Russian hacking