<ツイッター社が暴力賛美にあたると警告したトランプの問題投稿「略奪が始まれば銃撃も始まる」に対し「中立」の立場を堅持していたザッカーバーグだが> 白人警察官が黒人男性の首を抑えて死なせた事件に関するドナルド・トランプ米大統領の投稿をめぐり、フェイスブック社が揺れている。暴力を奨励するかのようなトランプの投稿を「中立」の立場からそのまま放置しているマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)を、現役と元の投稿監視担当者が厳しく批判した。 6月8日にオンラインで発表された公開書簡で彼らは、5月25日にミネアポリスで白人警官に拘束された黒人男性ジョージ・フロイドが死亡したことに抗議しているデモ隊への連帯を表明した。フロイドを死亡させた元警察官のデレク・ショービンは第二級殺人、第三級殺人と過失致死の罪に問われている。 トランプは5月29日、ミネアポリスで起きた抗議デモについて、「略奪が始まれば銃撃も始まる」と、デモ隊に対する発砲を促すようなメッセージを投稿。一方でツイッター社がこの投稿に「暴力を賛美する内容」だと警告をかぶせ、クリックしなければ表示されないようにしたのに対し、フェイスブックは削除も警告表示も行わずに放置。多くの従業員がこの判断に抗議するツイートを投稿した。辞職者も出た。 「違反にはあたらない」と説明 6月1日には、トランプの投稿に対策を講じない会社の判断に反対する従業員たちが、パソコンにログインしない「オンラインスト」を決行。今回公開書簡を発表した投稿監視担当者たちもこれを支持した。 英ガーディアン紙が最初に内容を報じたこの公開書簡の中で彼らは、「いま起こっている事態は、私たちが『声なき監視役』でいるのは許されないことを証明している」と書いている。「フェイスブックの画面がヘイトスピーチで溢れている時に、黙って見ていてはならない。警察官が黒人に暴力を振るい、痛めつける動画のライブ配信をいくつも目の当たりにしながら、それを放置してはならないのだ」 ザッカーバーグは2日に従業員と行ったビデオ会議の中で、トランプの問題の投稿を見直したが、暴力を煽る投稿を禁止する内規に違反しているとは判断されなかったと述べた。個人的には大統領の言葉に「生理的な嫌悪感」を感じたものの、フェイスブックとしてはできる限り表現の自由を確保するための努力もすべきだと主張した。 <参考記事>ツイッター、トランプの投稿に再び注意喚起 ミネソタ州デモに関するツイートに <参考記事>トランプの投稿に警告表示を付けたツイッターをフェイスブックも支持? ===== これに対して、4人の匿名現役従業員を含むモデレーターたちは「フェイスブックはもっと優れた役割が果たせるはずだ」と反論。「トランプの『略奪と銃撃』の論調について、ザッカーバーグが個人的に失望を表明するだけでは不十分だ。従業員の多くが、この投稿は暴力を煽る投稿を禁止するフェイスブックの内規に違反していると認識している。投稿に『ニュース性がある』という理由は納得できない」と書いた。 また公開書簡は、トランプは自分のしていることをよく分かっているはずだとし、次のように指摘した。 「トランプという政治家の発言については、これまで前代未聞の『善意の解釈』がなされてきた。それがその言葉を絶対的なものにする効果を生んでいる。これは、白人至上主義や国家による暴力を正当化する究極のやり方かもしれない」 3日には、フェイスブックの「創生期の従業員」数十人が公開書簡を発表し、トランプの投稿を削除しなかったザッカーバーグの判断は、同社の元来の理念に対する「裏切り」だと批判した。 続く6日には、200人を超える専門家が連名で公開書簡を発表。トランプが「誤った情報や扇動的な言葉」を広めるのを許したと、フェイスブックの幹部を厳しく非難した。 ザッカーバーグはその前日、自らのフェイスブック・アカウントへの投稿で、内規の見直しを表明した。彼は次のように書いている。「警察や軍による過剰な暴力については、この国の歴史を踏まえると、特別な配慮が必要だ」 (翻訳:森美歩) ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」