ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障担当)は近く出版予定の著書で、トランプ大統領が昨年6月に中国の習近平国家主席と会談した際、自身の再選の支援を要請していたと明かしている。政権の内幕を描いた著書の抜粋が17日、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の3紙に公表された。 ボルトン氏は「驚いたことに(習氏との会談)当時、トランプ氏は話題を次期大統領選に転換し、中国の経済力の大きさをほのめかしながら、再選を確実にするための手助けを習氏に懇願していた。トランプ氏は米国の農家の票と、中国による大豆や小麦の購入増がもたらす選挙への影響がいかに重要かを強調した」と述べた。 またボルトン氏は、野党・民主党がトランプ氏の弾劾調査を、いわゆるウクライナ疑惑に絞って進めたのが間違いだったと指摘。WSJによると「トランプ氏の外交政策全般にわたってもっと時間をかけて組織的に調べていれば、弾劾裁判の結果は違ったものになっていた可能性は十分にあった」と主張している。 民主党が多数派を占める下院はトランプ氏の弾劾決議を可決したが、その後与党・共和党が優勢な上院で行われた弾劾裁判で同氏の無罪評決が出された。 ホワイトハウスは現時点でコメントの要請に応じていない。 11月の大統領選の民主党候補指名を確実にしたバイデン前副大統領は声明で「これらの記述が事実なら、道徳的に不快なだけでなく、トランプ氏が米国民に対して負う神聖な義務に反する」と批判した。 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、トランプ氏が習氏に再選支援を求めたとのボルトン氏の主張について「全く真実ではない」と指摘。「私はその会談に同席した。そのような常軌を逸したことがあれば当然記憶している」とし、「会談でそのようなことが起きなかったのは間違いない。完全に常軌を逸している」と述べた。 ===== 大統領職の「正当性損なう」 トランプ政権は中国政府によるウイグル族などイスラム教少数民族の弾圧を強く批判してきたが、ボルトン氏によると、トランプ氏は習氏との昨年6月の会談では中国の政策を容認したという。 ボルトン氏は「われわれの通訳によると、トランプ氏は習氏に対し、収容施設の建設は正しい措置だとの見方を示し、進めるべきだと述べた」とした。さらに、トランプ氏が2017年11月の訪中時に同様の発言をしたとする別のホワイトハウス高官の指摘にも言及した。 ボルトン氏はこのほか、「大統領職の正当性そのものを損なう、根本的に容認できない行為」を示す多くの会話に言及している。 ワシントン・ポストは、米軍によるベネズエラ侵攻という選択肢をトランプ氏が「素晴らしい」と評価し、ベネズエラは「事実上米国の一部」と発言していたと、ボルトン氏が暴露していることも伝えた。 さらに同紙によると、2018年の米朝首脳会談中にボルトン氏は、ポンペオ国務長官からトランプ氏をののしるメモを受け取っていたという。 また、トランプ氏はジャーナリストに批判的な姿勢を公にしているが、ワシントン・ポストによると、ボルトン氏は著書で、トランプ氏が2019年夏に、ジャーナリストを投獄して情報源を開示させるべきだと語っていたことを明かした。[ロイター]Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます 【話題の記事】 ・米シアトルで抗議デモ隊が「自治区」設立を宣言──軍の治安出動はあるか ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・自殺かリンチか、差別に怒るアメリカで木に吊るされた黒人の遺体発見が相次ぐ ・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。