<暴力や略奪に弁解の余地はない、今こそ法と秩序を取り戻さなければならない> 14年以上ニューヨーク市で警察官を務めてきた私は、数十年前のタイムズスクエアは行ってはならない場所だったという話をよく聞いた。昔は売春から麻薬取引、窃盗まで、犯罪が横行する地域だったそうだ。マンハッタンの大半も1980~90年代は危険な場所だった。まさかこの偉大な街が再び危機に陥るとは、想像もしていなかった。 ここ数日のニューヨークは、見るに堪えない状況だった。警察官の努力と献身は台無しになり、時代が逆戻りした。ひどい略奪と暴力を目の当たりにすると、心が痛む。店は破壊され、商品が奪われ、警察車両に火が付けられた。 ニューヨークと全米中の警官はショックを受けている。人々を守るために数百人もの警官が命を犠牲にしてきたが、今やその人々が常軌を逸した行動に走っている。 暴力と破壊が繰り返され、警官は車にはねられ、負傷している。現場はまさに戦場だ。 全ての警官は、あのミネソタ州の警官がやったことを恥じている。彼は越えてはならない一線を越えただけでなく、人々に奉仕し、人々を守るという警官の宣誓にも背いた。1人の人間をあんなふうに扱ってはならない。 私たちも世界の他の人々と同じだ。彼が逮捕され、警官の地位を奪われたことを喜んでいる。1人の男性が警官との接触で命を落としたことに傷つき、恥じている。警官はあのような行動を取るべきではない。 暴徒の責任も問うべき だが店に押し入り、略奪してはいけない。そのような行為に弁解の余地はない。 彼(死亡した黒人男性ジョージ・フロイド)のことを忘れてはならない。なぜあんなことが起きたのかを問うべきだ。二度と起きないようにするためにはどうすべきなのかを議論すべきだ。 しかし、現状はそうなっていない。私は現役の巡査部長として、暴動と向き合っている。若い暴徒たちが街を走り回る光景はバットマン映画のゴッサム・シティのようだ。 彼らは何のために戦っているのかも分からないまま、それぞれが勝手に反応しているだけだ。マーチン・ルーサー・キングやジョン・レノンのような偉人のまねをしているが、実際は似ても似つかない。 人々は「正義」を要求するが、自分たちの行動を正当化するために法を犯している。犯人は既に逮捕された。再び誰かに危害を加えないように身柄を拘束されている。なぜこの問題をその他の世界のせいにするのか? なぜ人々に奉仕し、人々を守る善良な警官に八つ当たりするのか? <参考記事>Black Lives Matter、日本人が知らないデモ拡大の4つの要因 <参考記事>【バー店主の手記】抗議の声を心から支持するが、破壊はデモを台無しにする ===== 人々を恐怖に陥れたり、略奪に走ることは簡単だ。だからこそ、法と秩序を立て直さなければならない。警官のやり過ぎの責任を問うのであれば、罪なき傍観者を恐怖に陥れている連中の責任も問われるべきだ。 人間は本来、もっと優れた存在だ。私たちは元の道に戻り、失ったものを取り戻さなければならない。 (筆者はブルー・ライブス・マター〔警官の命も大事〕NYCの創設者。ブルーは警察官の制服の色に由来する) <本誌2020年6月23日号掲載> 【話題の記事】 ・女性の美を競う世界大会5大会すべてで黒人女性が優勝する時代に ・米海軍の潜水艦で女性乗組員の「レイプリスト」、艦長は解任 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年6月23日号(6月16日発売)は「コロナ時代の個人情報」特集。各国で採用が進む「スマホで接触追跡・感染監視」システムの是非。第2波を防ぐため、プライバシーは諦めるべきなのか。コロナ危機はまだ終わっていない。