<南シナ海や台湾をめぐる米中対立が激しさを増す中、世界最大の海軍演習には台湾を招くよう米上院軍事委が要請> 台湾外務省は6月26日、米上院軍事委員会に所属する議員らに対し謝意を表した。台湾の英字紙タイワン・ニュースが伝えた。今年の米国防権限法の草案に、世界最大の海軍演習である環太平洋合同演習(リムパック)に台湾を招待することが盛り込まれたからだ。 23日に公表されたこの草案では、「必要に応じてリムパックや(カリフォルニア州)フォートアーウィンの国立訓練センターにおける合同訓練や2カ国の海軍演習や訓練など、実用的な訓練や軍事演習を行う」など、台湾との軍事関係の強化が掲げられている。 正式な外交関係のない米台のこうした動きは議論を呼ぶかも知れない。中国政府は一貫して、台湾を中国の一部だと主張している。 かつては中国もリムパックに参加したことがあり、前回2018年のリムパック(26カ国が参加)にも招待されていた。ところが中国が南シナ海の小島やサンゴ礁の軍事化を進め、ミサイルシステムや電波妨害設備を配備したため、アメリカは招待を取り消した。以来、戦略的に重要な南シナ海などの海域における(そして台湾の主権の問題をめぐる)米中間の緊張は劇的に高まっている。 台湾海峡で米中の緊張高まる 台湾国防省の報道官は26日、国営中央通訊社に対し、台湾南西の防空識別圏に中国軍機が短時間侵入したと明らかにした。同じニュースは中国共産党機関紙人民日報系の新聞、環球時報でも、周辺での米台の軍事行動を妨害するための行動だとする専門家の発言とともに伝えられた。 一方、北京大学海洋研究所の台湾周辺の米軍機の動きを記録するプロジェクト「南シナ海調査イニシアティブ」は25日、米軍のEP-3EエアリーズII偵察機がP-8A対潜哨戒機とKC-135給油機を伴って台湾の南上空を飛行していたと明らかにした。 また同イニシアティブでは、米軍のP-8AとP3-C対潜哨戒機およびRC-135偵察機が台湾とフィリピンの間のバシー海峡近くを飛行する動きも監視したという。こうした米軍の作戦行動は中国政府の怒りを招いている。 中国人民解放軍の報道官は24日の記者会見で「台湾は中国の不可分の一部だ。台湾問題は純粋に中国の内政問題であり、外国からの干渉は一切認められない」と述べた。 <参考記事>傲慢な中国は世界の嫌われ者 <参考記事>中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは ===== 「アメリカは中国の国家主権そして領土の一体性を少しずつ侵害し、最後は全体を制圧する『サラミ戦術』を展開し、いわゆる『台湾カード』を頻繁に切っているが、まさに幻想だ」と報道官は述べた。「人民解放軍は厳戒態勢に入っている。また、人民解放軍には国家主権と領土の一体性を守るとともに台湾海峡を挟んだ平和と安定を維持するための強い決意と完全な自信、十分な能力がある」 今年のリムパックは8月17~21日の日程で、対潜水艦戦や海上阻止行動、実弾演習の他、共同訓練が行われる。だが米太平洋艦隊によれば、新型コロナウイルスの影響で海上での訓練に限定されるという。 「われわれはインド太平洋地域全体の同盟国やパートナーの防衛への関与を続けるし、その力もある」と、米太平洋艦隊のジョン・アキリーノ司令官は声明で述べた。今年のリムパックは「未来の敵との戦いと新型コロナウイルスの脅威の中で折り合いをつけた」結果、柔軟なやり方で実施することになったという。 (翻訳:村井裕美) 【話題の記事】 ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・異例の猛暑でドイツの過激な「ヌーディズム」が全開 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)