<日本のレジ袋有料化と同様に、韓国でも7月から環境対策の法律の施行を予定していたが......> 日本では7月1日から全国一律でレジ袋の有料化がスタートとなる。スーパーマーケットなどはもちろん、お弁当屋さんなどのテイクアウトでも対象となるため、既にマクドナルドなどは有料化対象外であるバイオマス素材の配合率25%以上のレジ袋に切り替えられているという。 もともと過剰包装が多いと言われている日本では、導入初期は多少混乱を招くかもしれないが、環境問題への対策として今後のライフスタイルを変えるきっかけになることは間違いない。 さて、お隣の国・韓国でも同じく7月1日から、日本と同様に環境問題対策のための法律が環境省から言い渡されたが、この規制をめぐって一時騒ぎが広がった。 「セット販売禁止法/再包装禁止法」と呼ばれるこの法律は、販売時に商品をセット販売して売ることを禁止する法律だ。韓国政府がこの法律の執行に踏み切った背景には、韓国の生活廃棄物において、商品の包装材が30%を超えたことによる。過剰包装をこの法律で抑えようという趣旨であり、環境省によると世界初の試みだという。 しかし、この趣旨が正しく伝わるよりも前に、「割引販売が禁止になる!」という情報だけが一人歩きし、セット販売を主に行っていたスーパーやコンビニエンスストアはもちろん、国民たちも混乱に陥る事態となってしまった。 法律施行10日前に発表されたガイドライン 混乱を招いた大きな原因は、あいまいな基準にある。禁止の項目が複雑で、袋入りインスタントラーメンやヨーグルトなど元々セットになって工場から出荷される商品はそのまま棚に並べても違法にはならない。しかし、店舗でサービスや目玉商品としてセットにして商品を売った場合は違法となってしまう。さらに、限定期間のサービスとしておまけをつけるのも禁止するという。 そして、もう一つの混乱要因は、タイミングだ。政府からガイドラインが発表されたのは、なんと法律執行期日のたった10日前だった。 【話題の記事】 ・東京都、新型コロナウイルス新規感染54人を確認 6月の感染者998人に ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・今年は海やプールで泳いでもいいのか?──検証 ・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義. ===== 報道されてから1日で白紙撤回 もちろん、この法律が報道されると韓国民の不満は爆発した。特に食品は家計にも響く一大事である。オンラインを中心に反対意見が次々と投稿され、ニュース番組でも否定的な報道がされ始めると、韓国政府はすぐに修正案を発表する。さすが、世論に対する瞬発力の速さに驚かされた。 環境省は、「あくまでも自然環境を守るため、ごみを減らす対策の法案である。割引やサービス価格を取り締まる物ではない」「包装せずにビニールテープでおまけを張り付けるなど簡単なものは許可する」という修正案を直ちに発表した。 韓国の会社などに務めたことのある人は知っていると思うが、あの国では重要なことほど突然実行されることが多い。しかし、今回の禁止令は突然すぎで、工場でも対応が間に合わないという反対意見が多く寄せられた。 結局、修正案を発表したにもかかわらず、その後も非難が殺到し、なんとガイドライン発表2日後、一番初めにスクープ報道を流したメディア「韓国経済」が記事にしてからわずか1日という速さでいったんこの法案は白紙となってしまった。 国民の怒りはメディアにも しかし、この白紙対応に今度は野党から環境省へ不満の声が上がった。未来統合党のスポークスマンであるぺ・ジュンヨンは、白紙となった翌日の論評で「エコ素材を開発した包装業者らまで、政府の一進一退政策に不満を爆発させると、環境省はすぐに収拾資料を発表した」「政府の煮え切らない政策が市場を混乱させている」と批判した。 一方では興味深いことに、一連の問題について一番初めに報道した韓国経済の「単独」スクープ記事が、消費者と小売店側をパニックにさせるような報道をしたのではないかと、歪曲報道批判に発展している。 確かに19日の韓国経済オンラインの見出しは「〔単独報道〕セット割引世界で初めて禁止...ラーメン・ビール価格値上がりか」と消費者の不安をあおり、本来の理由である環境問題については触れていない。さらに、翌日20日の韓国経済紙面では1面に「"インスタントご飯・ラーメンセット"安く売れば不法...お菓子・ビール価格も徐々に値上がりか」となっており、ビールなどはすでに工場からセットになって出荷されるため禁止対象になっていないのにもかかわらず、あたかも値上がりするかのような書き方をしている。 結局、22日に環境省のソン・ヒョングン自然環境政策室長が、緊急記者会見を開き、実施は半年後の来年1月からに変更したことを発表する事態になった。理由は、「環境問題対策としての実施だったのに、再包装禁止対象を分かりやすく説明することにおいて、包装ではなく割引事態を規制するという一部誤解が生じたため」と説明している。これでひと段落ついた形だが、それでも工場や小売店ではこれから6カ月対応に追われることだろう。 【話題の記事】 ・東京都、新型コロナウイルス新規感染54人を確認 6月の感染者998人に ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・今年は海やプールで泳いでもいいのか?──検証 ・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義. ===== コンビニアプリでおまけを保存? 韓国はおまけ大国だ。大型スーパーはもちろん、コンビニエンスストアでもセット販売を多く見かけることができる。 昨年それまでコンビニ業界最大手だったCUを抜き、韓国1位になったコンビニチェーンGS25では、頻繁に行われている1+1(1つ買ったらもう1つおまけでついてくる)サービス用のアプリを開発した。今2つもいらないという人は、GS25の「나만의 냉장고(私だけの冷蔵庫)」というアプリにキープしておくことができる。後日、全国どこでもGS25に立ち寄りアプリを見せれば、残りのおまけ分を貰える仕組みだ。 おまけ文化といえば、日本でも豪華雑誌付録が人気だが、韓国でもかなり昔からおまけがついていた。スマートフォンが普及する前は、マーケティング戦略としてさまざまな企業が自社商品を雑誌の付録として提供していた時期があった。化粧品などは試供品でなく一般的に販売されている商品が貰えて、ときにはドライヤーなど、雑誌本体の価格よりも数倍以上は高額なのではないかと思える豪華なおまけもついていた。 おまけがもらえるのは雑誌だけではない。食堂などに行けばメインの注文した料理以外に、パンチャンと呼ばれる数種類のおかずが付いてくることがほとんどだ。またカラオケに行くと1時間で支払いも済ませたはずなのに、混んでいないときだと受付の店員が10分ずつ勝手に延長サービスしてくれる場合もある。このように、「おまけ」は韓国人の暮らしに深く根付いているようだ。これは、サービス精神が旺盛な国民性からきているのかもしれない。 批判が強まる世論の声を聴き白紙まで戻すスピード、そしてスクープをした報道側への批判までもすべてが2〜3日の間に起きている。何をするにもパルリパルリ(早く早く)精神が息づいている韓国らしい騒動だった。 ゴミ問題は深刻であり全世界をあげて取り組んでいかなくてはいけない課題だ。今回のようなトラブルは今後も起きるかもしれないが、より良い未来を目指し、政府が率先してこのような動きに出ることで、日本でも韓国でもエコに対する国民の意識が少しずつ変わっていくことだろう。 【関連記事】 ・東京都、新型コロナウイルス新規感染54人を確認 6月の感染者998人に ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・今年は海やプールで泳いでもいいのか?──検証 ・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト) ===== 「セット販売禁止法」で大混乱の韓国スーパー おまけ文化が根付いている韓国では、スーパーでもセット商品が大人気だが...... JTBC News / YouTube