<暑い夏の地下鉄内で、皆がひどい体臭を漂わせれば、人々がマスクで鼻も覆うようになるだろうと、ベルリン公共交通は「デオドラントの使用をやめよう!」と呼びかけるキャンペーンを始めた......> ドイツの多くの公共スペースでは、今でもマスク着用が義務付けられている。ほとんどの市民が着用義務を守ってはいるようだが、正しく着けているかというと、必ずしもそうではない。最も多いのが、口だけ隠して鼻を覆わないパターンだ。 かねてからユーモアや風刺の効いた広告で知られるベルリン公共交通(BVG)は、暑い夏の地下鉄内で、皆がひどい体臭を漂わせれば、人々がマスクで鼻も覆うようになるだろうということで、「デオドラント(防臭剤)の使用をやめよう!」と呼びかけるキャンペーンを始めた。 悪臭が充満すればみんな鼻を覆う? ベルリンの地下鉄を運営するBVGは1日、公式ツイッターで、「君たちは他の選択肢を与えてくれなかった(君たちのせいだよ)」という文章とともに、脇の下の臭う人物と「デオドラントの使用をやめよう!」という呼びかけの書かれた黄色いポスターを投稿した。コメント欄には賛否両論あるようだが、たった数日で多くのいいねも付いている。 Ihr lasst uns keine andere Wahl. pic.twitter.com/mf8YcCnwc8— Weil wir dich lieben (@BVG_Kampagne) July 1, 2020 ただ、ベルリンっ子たちはBVGのこのようなキャンペーンには慣れっこのようだ。BVGはこれまでにも、半分ふざけているようなキャッチフレーズを次々と生み出してきた。昨年にはまた、「すばらしく古くてのろい」ベルリン地下鉄をユネスコ世界遺産に登録してもらおうと、本当に申請したようなので驚きだ。 BVG - Nächster Halt: Weltkulturerbe ただ、今回の「デオドラント使用中止キャンペーン」がどれだけ功を奏するかは疑問だ。ドイツの地下鉄はもともと臭い。体臭がエチケット違反の北米に比べて、デオドラントを使わない自然派の人も多い。あるいは使っても、アルミニウムなど人体に害のある成分を多く含んだ強力なデオドラントではなく、よりナチュラルな物を使用しているようだ。 ===== また、車内は禁煙だが、外でも「ドアから○メートル以内の喫煙は禁止」という北米のような決まりがないので、地上にある駅などでは発車ギリギリまでホームのドア付近でタバコを吸って、そのままタバコの臭いを全身に纏ったまま飛び乗ってくる人もいる。さらに、長距離線になると車内でアルコールを消費する人も少なくない。 ベルリンでは6月末より、マスク着用義務のある場所で着用を拒否した場合、50ユーロの罰金を課している。違反を繰り返した場合、500ユーロまで罰金が上がる可能性がある。いっその事、罰金の額を大幅に上げたほうが、皆マスクを正しく着用してくれるようになるのではないかという気がしないでもない。 黒人への蔑称を用いた駅名を変更 だが、BVGはおふざけばかりしているわけではない。ベルリン地下鉄にはMohrenstrasse「モーアレン通り」という名の駅があったが、このMohrは中世中高ドイツ語で北アフリカのムーア人などを指していたのが、近世になってしだいに黒人への蔑称となっていった(現在のムーア人のスペルはMauren)。現代ではMohrはほとんど使用されないが、中世の貿易の名残として商標などに残されている場合がある。「モーアレン通り」の駅名は以前から非難されていたが、BLM運動をきっかけに、抗議者たちによって「モーアレン」の上に「ジョージ・フロイド」(アメリカで白人警官に殺害された黒人)の名が貼られたりした。 3日、BVGは正式にこの駅名を変更することを発表。新しい名称はロシアの作曲家ミハイル・イワノビッチ・グリンカ (1804〜1857)にちなんで「グリンカ通り」になるそうだ。