<これまで「ジンベエザメは視覚にあまり頼っていないのではないか」と考えられてきたが...> 沖縄美ら島財団、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、米ジョージア水族館の共同研究チームは、沖縄美ら海水族館とジョージア水族館で飼育されているジンベエザメを観察し、ジンベエザメの白眼が「皮歯」と呼ばれるV字型の鱗に覆われていることを発見した。 約2900個もの皮歯が虹彩の周りの目の表面を覆っていた ジンベエザメは、体の大きさに比して目が小さく、視覚を処理する中脳もそれほど大きくないことから、これまで「ジンベエザメは視覚にあまり頼っていないのではないか」と考えられてきた。 一方、研究チームは、2020年6月29日にオープンアクセスジャーナル「プロスワン」で公開された研究論文において「このようなジンベエザメの目の高度な保護メカニズムは、ジンベエザメにとって視覚が重要な機能であることを示唆するものだ」と考察している。 研究チームは、沖縄で混獲され、沖縄美ら海水族館で飼育された後、2017年に死亡したジンベエザメの眼球を形態観察した。マイクロCTスキャナで取得したCTデータを分析したところ、約2900個もの皮歯が虹彩の周りの目の表面を覆っていた。これは、脊椎動物の目の保護メカニズムとして非常に珍しいものだ。 ジンベイザメの目(Tomita et al., PLOS One, 2020) 皮歯の3Dレンダリング (Tomita et al., PLOS One, 2020) 目を引っ込める仕組みがある また、研究チームは、ジンベエザメに目を引っ込める仕組みがあることも発見した。沖縄美ら海水族館で飼育されているジンベエザメ3匹ではいずれも、ダイバーが近づくと、1秒以内に目が眼窩(眼球が入っているくぼみ)に引き込まれ、その距離は最大で眼球の直径の約50%であった。 このような動作が起こるのは概ね短期間だが、ジョージア水族館のジンベエザメは、台湾から米アトランタのジョージア水族館に運ばれた後、約10日間にわたって目が引っ込んだままだった。目が引っ込んでいる間も、ジンベエザメは視覚を維持しているとみられ、10日間、目が引っ込んでいたこのジンベエザメは、目が元の位置に自然と戻るまで、水槽をスムーズに泳いでいたという。 研究チームでは今後、視野や視力、色域、感度といったジンベエザメの光知覚力を中心に、さらなる研究が必要との見解を示している。 ===== Whale Shark | National Geographic