<日本を含む他の国々にとっても他人事ではない香港という踏み絵にどう対応するか> 駐カナダ中国大使は、カナダ政府が中国の「香港国家安全維持法」に対する制裁を発表したことに反発した。 从培武大使は7月7日付のトロント・スター紙のインタビューの中で、ジャスティン・トルドー首相率いるカナダ政府について、香港を通じて「中国に内政干渉を行う」のはやめるべきだと批判した。 中国政府とその当局者たちは、香港国家安全維持法に対する批判に強く反発している。国際社会は中国が7月1日から施行した同法について、香港での反政府的な動きを犯罪と見なし、「一国二制度」の下に香港に保障されてきた政治的自由を事実上奪うものだと非難している。 カナダ政府も同法に反対の立場から、3日には香港と結んでいた犯罪人引き渡し条約の停止と、香港で民主化デモの弾圧に使われる可能性がある「軍民両用」製品を含む軍事物資の輸出禁止を発表した。香港国家安全維持法の下、民主化デモは「違法行為」とされている。 「黙っているつもりはない」 中国外務省の趙立堅報道官は6日、中国政府には報復の用意があり、カナダは「その責を負うことになる」だろうと発言。从培武は、「見ているがいい」「我々は断固として自国の安全保障と主権を守っていく。(内政干渉を)黙って見過ごしはしない」 在カナダ中国大使館は6日、中国の国民に対してカナダに渡航する際は注意するよう警告。カナダの法執行当局による「頻繁な暴力行為」をその理由に挙げた。 中国外務省の報道官は6日の会見で、カナダの取った措置は「国際法と国際関係上の重大な違反であり、ひどい内政干渉だ」と主張。カナダ政府に対して「両国関係へのさらなるダメージを回避するため、直ちに間違いを正すよう」促した。 イギリス、オーストラリア、ニュージーランドやアメリカなどほかにも多くの外国政府が香港国家安全維持法を非難し、法律的な対抗措置を取っている。これを受けて、これらの国に派遣されている中国大使は現地政府に強く抗議しており、中国政府は内政干渉だと反発している。 <参考記事>中国で捕らわれた外国人を待つ地獄の日々 <参考記事>「ファーウェイの部分容認は5Gに新型コロナウイルスを入れるのと同じ」元ミス・ワールド代表が警鐘 ===== 国家安全維持法は、外国との共謀を犯罪行為と見なしている。「共謀」には諸外国への支援要請や、諸外国からの外交的支援も含まれる可能性があり、同法違反で有罪となった場合の最も重い刑は終身刑だ。中国は以前から、民主化を求めるデモを「過激派が扇動した」「外国勢力からの指示」による活動に仕立て上げようとしてきた。 カナダと中国は、同法が施行される前から既に冷ややかな関係にあった。2018年12月にアメリカの要請を受けて、中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟CFOを逮捕したからだ。米当局は孟を詐欺罪で起訴しており、カナダの裁判所で孟の身柄引き渡しに関する審理が続いている。 孟が逮捕された直後、中国はおそらく報復としてカナダ人2人(元外交官のマイケル・コブリグと実業家のマイケル・スペーバー)の身柄を拘束。6月に2人をスパイ罪で起訴した。カナダのフランソワ・フィリップ・シャンパーニュ外相は中国の一連の行動を「威圧的な外交」で「恣意的な身柄拘束」だと批判している。 シャンパーニュは香港国家安全維持法の成立を受けて発表した声明の中で、同法について「香港基本法と、『一国二制度』の枠組みの下で香港に保障されている高度な自治を無視するもの」で、カナダとして「大いに懸念する」と述べていた。 【話題の記事】 ・カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは ・昆虫食はすでに日常 カナダの大手スーパー「コオロギ粉」全国販売開始 ・セックスドールに中国男性は夢中 ・中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。