<性的スキャンダルが相次ぎ「女性の権利擁護に積極的」というイメージにダメージ。「共に民主党」は、ソウル、釜山市長補選と次期大統領選をどう戦うのか> 朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の突然の死は、韓国人に大きな衝撃をもたらした。特に、元秘書の女性が朴からの長年にわたるセクハラ被害を告訴した翌日に自殺したとみられていることに、支持者は動揺している。朴は改革志向であり、女性の権利を擁護する政治家としてキャリアを積んできたからだ。 だが朴と同じ与党「共に民主党」の政治家には、別の懸念がある。朴の死によって2021年4月に実施されるソウル市長の補欠選挙だ。韓国第2の都市である釜山の市長ポストも空席になっている。前市長の呉巨敦(オ・ゴドン)は、セクハラ疑惑で4月に辞任した。釜山市長の補選もソウルと同じ2021年4月に行われる。 首都ソウルの市長は、韓国政治で最も重要なポストの1つ。歴代の市長には大統領選の有力候補となった例も多い。 釜山市長の地位も政治的に重要だ。22年3月の大統領選の結果を左右しかねない同市と近隣地域の票をまとめる立場にあり、勝敗のカギを握るほどの影響力を持つ。 共に民主党は2つの大型補選で、党有力者に相次いだ性的スキャンダルの後遺症に苦しむだろう。釜山市長だった呉の辞任も、女性公務員に性的暴行を告発されたためだ。呉は「不必要な身体的接触」があったことを認めている。 さらに忠清南道の知事だった安熙正(アン・ヒジョン)が2019年、元秘書への性的暴行で懲役3年6カ月の実刑判決を受けている。朴、呉、そして安は、いずれも共に民主党出身の政治家だ。 「共に痴漢民主党」と揶揄 相次ぐ性的スキャンダルで、共に民主党のイメージは著しく損なわれ、ネット上では「共に痴漢民主党」と揶揄されている。同党は女性の権利擁護に積極的で、どんなセクハラも断じて許さない姿勢を示してきたため、多くの有権者が失望を感じている。 共に民主党は、進行中の裁判の成り行き次第では2つの知事ポストも危うくなる。 京畿道の李在明(イ・ジェミョン)知事は、2018年の知事選で公職選挙法が定める虚偽事実公表罪を犯したとして起訴された(だが最高裁は今年7月16日、罰金刑を言い渡した2審判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した)。 慶尚南道の金慶洙(キム・ギョンス)知事は2017年の大統領選で現職の文在寅(ムン・ジェイン)陣営の幹部を務めたとき、ネット上の世論操作に関与したとして、2019年に一審で懲役2年の実刑判決を受けた。 【関連記事】韓国ソウルのパク・ウォンスン市長、遺体で発見 セクハラ告発と関連か ===== 共に民主党には、2015年に改正された党則の縛りもある。党所属の公職者が汚職などの「重大な過ち」で辞任した場合には、その選挙区の補選で候補者を推薦しないというものだ。ただし党内で意見の対立があり、次の補選への適用については合意できていない。 与党の体たらくに乗じようとしているのが、最大野党の未来統合党だ。党を率いる金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長は朴ソウル市長の遺体が発見された7月10日、2つの補選には「大統領選と同等」の重要性があるとして、「良い結果」を得るための戦略が必要だと党員に呼び掛けた。「国民に何を提供できるかを模索しなければならない」と、金は語った。 朴の死とセクハラ問題には触れなかった。今、そこを意地悪く突っついて有権者を逃す手はないという慎重さが、逆に本気度をうかがわせる。 From thediplomat.com <2020年7月28日号掲載> 【話題の記事】 ・全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは ・韓国のコロナ対策を称える日本に欠ける視点 ・「この貞淑な花嫁は......男だ」 イスラムの教え強いインドネシア、ベール越しのデートで初夜まで気付かず ・ベトナム、日本には強硬だが、中国には黙る韓国政府の対応に疑問の声 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。