<トランプがポートランドに送りこんだ正体不明の連邦職員によるデモ鎮圧に、地元当局もデモ隊も激怒> オレゴン州知事は、同州最大の都市ポートランドに連邦職員を送り込んでデモ参加者を逮捕させているとドナルド・トランプ大統領を批判。アメリカは「独裁国家ではない」と呼びかけた。 「この国は民主主義であり、独裁主義ではない」と、ケイト・ブラウン知事は7月20日夜のツイートで訴えた。「秘密警察が記章もない正体不明の車両で市民を誘拐するなんて。アメリカ合衆国大統領に、そんなことを訴えなくてはならないなんて」 ツイートとともに、ブラウンはポートランドにおける連邦治安機関職員の最近の活動について語ったナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)の番組の一部をシェアした。 「連邦政府による露骨な権力乱用だ」と、ブラウンはNPRの番組で語った。「(職員は)デモの鎮静化にはふさわしくない訓練を受けた人々だ。率直に言って、彼らはすでに困難な状況を悪化させている」 ネイション誌が入手した内部メモによると、国土安全保障省と税関・国境警備局のさまざまな部門から集められた連邦機関の職員が、7月4日の週末を前にポートランドに派遣された。 彼らは、トランプが6月26日に出した全国の彫像やモニュメントの保護を目的とする行政命令に対応するために、国土安全保障省が立ち上げた特別なタスクフォースに属している。 警察の残虐行為や人種差別に抗議する運動が全米に広がるなか、一部のデモ参加者が人種差別行為をしたとみなされる歴史的人物の彫像を汚したり、取り壊したりする事件がポートランドをはじめ数十の都市で相次いでいる。 自由と権利の侵害 連邦職員らは迷彩服を着用し、デモ隊に催涙ガスと暴動鎮圧用の武器を使用、さらにデモ参加者を所属不明の車両に乗せて拘束するところを目撃されている。ブラウンは、ポートランド市から連邦職員をすぐに退去させてほしいと国土安全保障省に依頼している。 しかし国土安全保障省のケン・クチネリ副長官代理はNPRで、当局はこの作戦をすぐに終わらせるつもりはない、と語った。 「ポートランドだけでなく、われわれに管理責任がある全国各地の施設に対してはすべて同じ姿勢で臨む」と、クチネリは語った。 ブラウンの報道官チャールズ・ボイルは本誌に電子メールで、連邦職員が相当な理由なくデモ参加者を逮捕したという報告について「非常に心配している。市民の自由と憲法上の権利の侵害だ」と述べた。 「国土安全保障省に唯一頼みたいのは、連邦職員の退去の要請だ」と、ボイルは書いている。「連邦法執行機関からは職員の活動について、何の知らせもない。だが連邦職員の行動は連邦政府の管轄下にある」 <参考記事>超法規の政府職員を動員してデモ制圧に乗り出したトランプ <参考記事>米シアトルで抗議デモ隊が「自治区」設立を宣言──軍の治安出動はあるか ===== 20日のインタビューで、トランプはポートランドの状況を「完全に制御不能」と表現した。 「地域を運営するリベラルな民主党員は、自分たちが何をしているのか分かっていない」とトランプは述べ、シカゴやニューヨーク、その他の都市にも「法執行機関の職員を派遣する」と付け加えた。 「ポートランドでは、彼らはよくやってくれた」と、トランプは言った。「3日間しか活動していないが、本当に非常に短期間で素晴らしい仕事をした。問題ない」 マーク・ペティボーン(29歳)はポートランドで連邦職員に拘束された経験をNPRに語った。7月15日未明に抗議行動に参加し、歩いて帰宅した際に所属不明のバンに引き込まれたという。 「かぶっていたニット帽を引き下ろされて周りが見えなくなった。その後、両手を押さえつけられた」と、ペティボーンは言う。「ボディーチェックをされて、写真を撮られ、持ち物をくまなく捜索された」。 ペティボーンは独房に入れられたが、1時間半近く経った後に釈放された。 「完全に無差別な拘禁であることは明らかだった」と、ペティボーンは言う。 トランプの悪あがき トランプはポートランドの抗議デモ参加者を「わが国を憎悪する無政府主義者」と呼んだ。 「知事や市長、上院議員は、こういう人々を恐れている」と、トランプは20日に記者団に語り、全米に広がる社会不安は「アフガニスタンよりもはるかに悪い」と付け加えた。 デモ参加者を催涙ガスとデモ鎮圧用の武器で攻撃する連邦職員の姿は動画で捉えられている。7月19日にツイッターに投稿された動画には、迷彩服を着た職員が警棒で男性を殴り、別の職員が催涙スプレーを顔に噴射する様子が映っている。 ポートランドのあるデモ参加者は、連邦職員が発射したゴム弾など鎮圧用兵器で顔と頭蓋骨を骨折し、入院した。 ポートランド市のテッド・ウィーラー市長によれば、連邦職員の存在は市内の緊張を緩和するどころか、かえって高めている。 「これは、支持率が低下している弱体化した大統領が、自分の支持層に強がりを見せるための苦し紛れの最後の悪あがきだ。自分の選挙を有利にするために、連邦治安機関を利用している」と、ウィーラーはNPRで語った。 (翻訳:栗原紀子) 【話題の記事】 ・中国は「第三次大戦を準備している」 ・銀河系には36のエイリアン文明が存在する? ・カナダで「童貞テロ」を初訴追──過激化した非モテ男の「インセル」思想とは ・セックスドールに中国男性は夢中 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。 =====