<この夏話題のリアリティーバラエティー番組が炎上。そこには日本との問題が......> 日韓両国でたびたび問題となるのが盗作疑惑だ。筆者が韓国に初めて住み始めた2000年は、日本は今ほど韓国の文化に興味が無かったからか、日本で観たことのあるようなクイズ番組やバラエティー番組、また商品デザインをそのままもってきたようなパクリ疑惑の商品を目にすることが多かった。 ところが、インターネットやスマートフォンが普及し、情報社会になった今では、全国民がサイバー警察となり、似た作品があるとすぐに盗作を指摘されるようになった。 CJENM社が運営する放送局tvNでは、今月新番組『여름방학(夏休み)』の第1話が放送された。この番組は、『삼시세끼(三食ご飯)』『신서유기(新西遊記)』『꽃보다할배(花よりおじいさん)』など、次々と人気番組を世に送り出している韓国で有名な敏腕TVプロデューサー、ナ・ヨンソクPDが手掛ける新作番組だ。 映画『トガニ 幼き瞳の告発』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『82年生まれ、キム・ジヨン』など話題作に主演し続けている女優チョン・ユミと、『新感染 ファイナル・エクスプレス』でチョン・ユミと共演し、『パラサイト 半地下の家族』では主人公の息子ギウ役を好演した俳優チェ・ウシクが出演している。この二人が、夏休みをテーマに海辺の一軒家で1カ月田舎生活を送り、その生活風景をのぞき見する癒し系バラエティー番組である。 ヒットメーカーと人気俳優の組み合わせ、さらに1回目には日本でもヒットしている『梨泰院クラス』のパク・ソジュンがゲスト出演するとあって多くの注目を集めた。 視聴率1位を獲得した新番組にネット上で批判が殺到 ところが、今月17日第1話目が放送されると、視聴率こそ最高6.8%で同時間帯番組首位の人気を得たものの、すぐにネット上でこの番組の構成や進行方式が日本のゲーム『ぼくのやつやすみ』と似ていると批判が殺到した。 日本のゲーム『ぼくのなつやすみ』は、2000年の夏にソニーから第1弾が発売された人気ゲームであり、その後、シリーズ化されている。架空の田舎に預けられた9歳の主人公ボクが、自然に触れ昆虫採集や魚釣り、朝のラジオ体操などして昔懐かしい日本の夏を疑似体験することができるゲームである。 番組から番組へ、歌から歌へ等、同じコンテンツ同士そっくりで盗作疑惑がかけられることは多いが、ゲームからバラエティー番組になるのは珍しい。いったいどの部分が酷似し盗作と言われているのだろうか。 またネット上で一番多く指摘が上がったのは、舞台となる一軒家だ。韓国では珍しい外観をしており、日本家屋風なデザインをしている。さらに、一部の人たちは画面を一時停止しつつ、屋内の家電製品や小物も日本でよく使うものが多いことをネットに投稿した。 そして、1日が終わると今日の出来事を毎日絵日記に書き、そのページが画面に映し出されるのも『ぼくのなつやすみ』と似ていると言われている。加えて、番組タイトルオープニングのアニメーションも、ほのぼのとしたタッチがゲームの雰囲気と似ているというのだ。 ===== 韓国で一番問題となった『夏休み』の舞台となるの家 세계일보 / YouTube 公式インスタグラムで謝罪、その内容は 第1話放送から2日後の19日。高まる批判に制作陣は公式インスタグラムで謝罪をした。「倭色」(=韓国で日本風なものを意味する)なものとして一番大きな波紋を広げた家については、元々あった民泊の一軒家を買い取り、番組用にきれいにリモデリングした後撮影が開始されていた。制作陣は、『1950年に建てられた家だったが、リモデリングの際、視聴者の気持ちを考慮しなかったことについて申し訳ない』『2回目の撮影では不快な気持ちにならないよう、家に手を加えている』と、語った。 ただし、盗作疑惑については、『このゲームについて、存在も知らなかった。参考にした覚えもない』と公式に否定している。 他にも、最近ネット上で騒動となったジャンルを超えた盗作疑惑と言えば、日本の大人気漫画『鬼滅の刃』にそっくりなスマホゲームが韓国で登場した事件だ。 公式韓国バージョンと見間違えるほど瓜二つ 左が『鬼殺の剣』、右が韓国版『鬼滅の刃』 게임조선 / NAVER TV 今年4月24日韓国のゲーム会社テンナインが制作し、公開された韓国のモバイルゲーム『鬼殺の剣』が批判の的となった。『鬼滅の刃』と『鬼殺の剣』。名前がすでにそっくりなのだが、似ているのはそれだけではなかった。 主人公の日本人タツヤは、鬼によって家族を殺され、その後自ら鬼を狩る剣士となる設定だ。この主人公はそれ以外にも、顔に傷がある/長髪を一つくくりに縛っている/特徴的な柄物の羽織を着ている点など『鬼滅の刃』の主人公・炭治郎と酷似している。さらに、『鬼殺の剣』に登場する女性キャラクターカスミは、額に角があり、どことなく『鬼滅の刃』の禰豆子と似ているとも指摘されている。 このゲーム会社は、過去にも他のゲームで日本漫画からの盗作容疑がかかっていた。『脱走忍者を育てる』というアクションゲームは、日本の人気漫画『NARUTO -ナルト-』とそっくりだと批判を浴びていた。開発会社は別の社名になっているが、アプリストアーに登録されている住所も代表者名もテンナイン社と同じことから、同じ会社が名義だけ変更してまた日本の人気漫画をパクってゲーム制作したものと言われている。 ネット上で批判が相次ぐと、ゲーム開発会社は配信開始から6日後にゲーム配信終了を発表した。しかし、盗作問題については『世界観と外見が似ているからそう思われるのであって、パクリではない』と発表した。 ===== 的外れなパクリ疑惑も 盗作疑惑は今も昔も溢れかえっている。確かに上記のような『オマージュ』や『偶然』では片づけられないそっくりな作品もある。その一方で、日韓の微妙な関係を意識しすぎたパクリ疑惑認定も存在するのではないだろうか。 最近、韓国の教育放送EBSから誕生した大人気キャラクター「ペンス」が、日本の熊本のゆるキャラ「くまモン」の盗作ではないかと言う疑惑が上がった。しかし、ペンスの魅力は、大企業の社長にさえタメ口でしゃべったり、失礼とも取れる発言を投げかけたりする歯に衣着せぬその言動であり、くまモンとは全く別である。 今も昔も盗作疑惑はネット上にあふれている。言い逃れできないほどそっくりなものも多いが、その反対に神経質になりすぎてはいないかと思える疑惑も多い。特に日韓両国は、歴史問題などのお互いの国民感情も上乗せされている気がしてならない。 一番大事なのは素晴らしい作品を生み出した作者へのリスペクトであり、もしもその気持ちが少しでもあるのなら盗作などできないはずである。 ===== 視聴率1位を獲得した『夏休み』とは? ヒットメーカー、ナ・ヨンソクPDの新作とあって炎上騒ぎも大きく韓国メディアで取り上げられた。 세계일보 / YouTube 『鬼滅の刃』と『鬼殺の剣』 韓国のゲーム専門メディアでもパクリ疑惑を取り上げた。 게임조선 / NAVER TV