<小規模な嵐の直後、乾いた地面を黒い液体があっという間に飲み込んだ。1ヶ月半前の大規模な山火事の影響によるものとみられる......> 巨大で黒い不気味な流体が、乾いた地面をあっという間に飲み込みながら、どんどん流れていく。 2020年7月15日、米アリゾナ州南部ピマ州の分水界「カニャーダ・デル・オロ(CDO)」で撮影されたホラー映画のような光景が、ピマ州の公式ツイッターで投稿された。 この現象は、小規模な嵐の直後にとらえられたものだ。アリゾナ州ツーソン北部のサンタカタリナ山脈で2020年6月5日に発生した大規模な山火事「ビッグホーン・ファイア」の影響によるものとみられる。 Who had this on their 2020 hellscape bingo card? pic.twitter.com/fUNvIVS7aw— Official Pima County (@pimaarizona) July 16, 2020 山火事発生から1ヶ月半、まだ残留熱がくすぶっている 「ビッグホーン・ファイア」では11万9978エーカー(4万8553ヘクタール)が焼失し、発生から1ヶ月半以上経過した7月23日時も残留熱がくすぶっている。 アメリカ地質調査所によると、山火事によって、通常であれば植生によって吸収される降雨がすぐに流出して水流が多くなるのに加え、焼けた後の土壌は侵食性が高まり、水流が大量の泥や石などを飲み込むため、少量の降雨でも洪水や泥流が起こりやすくなるという。 2017年12月にカリフォルニア州南部で発生した山火事の影響により、2018年1月には、サンタバーバラ郡で土砂崩れが起き、23名が死亡した。30分間にわずか7ミリの降雨が土石流を引き起こしたとみられている。 Post-wildfire Flood and Debris Flow: 2014 Silverado Fire ===== 「大規模な山火事は長期にわたって生態系に影響をもたらす」 山火事は、川の生態系にも深刻な影響をもたらす。山火事によって植生が失われ、灰や土が水路を覆うようになると、溶存酸素(水中に溶解している酸素)の濃度が下がる一方で、富栄養化によって藍藻(シアノバクテリア)が繁殖し、さらに水中の酸素を消費してしまう。水中の酸素が不足すると、魚やカニなどの水生動物の大量死につながる。また、水中の視界が悪化して水生植物が十分に捕食できなかったり、水生植物や藻類が光合成に必要な日光を得られなくなるおそれもある。 カナダのチャールズ・スタート大学の淡水生態学者リー・バウムガルトナー教授は、英紙ガーディアンで、1939年に豪ビクトリア州で発生した大規模森林火災によってラックラン川の魚が消失し、現在も生態系が回復していないことに言及し、「大規模な山火事は長期にわたって生態系に影響をもたらす」と警告している。