<南極・ロス海の水深10メートルの地点から、メタン湧出とみられる幅1メートル、長さ70メートルの微生物マットが発見された......> 海洋や堆積物に含まれるメタンの多くは、大気中に放出される前に微生物によって消費されている。しかしこのほど、南極で初めて、活発なメタン湧出が確認された。 南極の水深10メートル地点でメタン湧出が発見された 米オレゴン州立大学の研究チームが2020年7月20日に学術雑誌「英国王立協会紀要」で発表した研究論文によると、2011年、米国の海洋研究機関「モスランディング・マリンラボラトリーズ」の研究員が南極・ロス海のマクナード入江にある水深10メートルの「シンダー・コーン」で、メタン湧出とみられる幅1メートル、長さ70メートルの微生物マットを発見した。この地域は1960年代半ばから生態系の研究が継続的に行われてきたが、2010年までに、このような微生物マットは確認されていない。 研究チームは、メタン湧出が発見された1年後にあたる2012年と5年後にあたる2016年に現地で採集したサンプルを解析した。その結果、2012年時点では微生物マットがメタンを吸収した形跡はなく、2016年時点でも、メタンが微生物マットによって十分に吸収されず、放出していることがわかった。メタンを消費する微生物が、このメタン湧出に現れるまでに5年かかっていることも確認されている。 研究論文の筆頭著者でオレゴン州立大学のアンドリュー・サーバー准教授は、英紙ガーディアンの取材に対して、「微生物によるメタンの消費の遅れは、重要な発見だ。微生物がメタンの吸収源になるまでに5年以上を要し、それでもまだ海底からメタンが放出していることは、けして好ましいことではない」と述べている。 二酸化炭素の25倍もの温室効果をもたらす メタンは、二酸化炭素に比べて25倍もの温室効果をもたらす。また、海洋のメタンの25%以上が南極に存在するとみられている。このメタンが漏れた場合の地球への影響をこれまで多くの科学者が警告してきた。また、2018年にNASAは、北極圏での氷の融解がメタンガスの放出を促し、地球温暖化を加速化させる要因になると警告していた。一連の研究成果は、南極におけるメタン循環の仕組みや、他の地域のメタン循環との違いを解明する第一歩として評価されている。 英ブリストル大学の氷河生物地球化学者ジェマ・ウェイダム教授は、英紙ガーディアンで「南極や南極氷床は、地球のメタン循環を解明するうえで"巨大なブラックホール"だ。氷床下には大量のメタンが存在するとみられているが、『氷床融解の引き金となるおそれのあるメタンの放出のスピードに比べて、微生物がメタンの吸収源になるまでのタイムラグがどれくらい大きいのか』という謎が残されている」と述べている。 ===== Scientists discover first active leak of seabed methane in Antarctica New Arctic lakes could soon be a major source of atmospheric methane