<日本なら「所詮ユーチューブだから」で終わるかもしれないことも、韓国では容赦ない批判を受けて大炎上に......> 近頃、日本では多くの芸能人がユーチューバー・デビューを果たしている。今年4月には吉本興業が、多くのユーチューバーが所属する大手企業UUUMと業務提携を締結した。今後さらなる芸能人ユーチューバーが誕生していくとみられている。もちろん、お隣の国、韓国でも同じ状況は起こっており、アイドルやタレントが続々と自分のチャンネルを開設して人気を集めている。 しかし、そうなるとユーチューブ内で数々の問題が発生し始める。特に最近の韓国ユーチューブ界を賑わせているのが「PPL広告問題」だ。PPL(Product PLacement)とは、広告用語でテレビや映画の作品の中で、さりげなく商品を写すことで消費者に認知をさせる手法のことだ。韓国では地上波放送の番組内で商品名を表示することは原則禁止されており、日本よりも広告について規制が厳しい。その影響もあってPPLについても視聴者の目は厳しい。そのためユーチューブのPPLの場合、企業やブランドから実際には商品やお金をもらっているのにも関わらず、あたかも自分が好きで買った愛用品のように紹介することが多い。 ユーチューバーの収入源は「案件」 ユーチューバーたちの主な収入源は広告収入だが、ある程度の収入を得るためにはかなりの再生回数を稼ぐ必要がある。そのため、人気のあるユーチューバーは広告収入よりも企業からのタイアップの方が収入が多く、日本のユーチューバーはよく「案件」と呼んでいる。 もちろん、PPLであることを表示したうえで、動画を配信する分には問題が無いのだが、そうでないことが発覚したとたん大炎上に繋がってしまう。以前、日本でも芸能人がブログで"ステマ"(ステルスマーケティング)をし、炎上したことがあったが、韓国でのPPL問題は日本の"ステマ"と同じような意味で使われている。 最近韓国で人気のあった2つの芸能人ユーチューブチャンネルが、韓国のネットメディアDispatchから「視聴者をあざむく形でPPLを行っている」と指摘されて大炎上を起こした。1つは、ファッション系のTV番組によく出演し、タレント活動もしている人気スタイリスト、ハン・へヨン氏のユーチューブチャンネル「シューススTV」だ。 スタイリストが教えるコーディネートのヒントや、新しく出来たショップやブランドの新作紹介などで構成され、登録者数86万人を超える人気チャンネルだったのだが、ファッション業界のブランドや商品を扱っており以前からPPL問題が疑われていた。 【話題の記事】 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見 ・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に   ===== 先月15日に「シューススTV」でPPLが行われていると報道されると、ハン・へヨン氏は「直ちに確認し、企業から広告費を貰っていた動画に関しては'有料広告含む'の表示を行う」とし、翌日には本人の謝罪動画もアップされた。 音源女王と呼ばれるダビチも インスタのフォロワーが200万人、ユーチューブチャンネル登録が66万人というダビチのカン・ミンギョンがユーチューブで取り上げたブラジャーはPPLだった。강민경 / YouTube もう1つは、音源女王とも呼ばれるK-POPの人気女性デュオ「ダビチ」のカン・ミンギョン氏が開設したユーチューブチャンネルだ。こちらも65万人を超える登録者数をもち、彼女の日常や人柄が垣間見られると人気があった。ところが、愛用品紹介などの中に企業からのPPL案件が含まれていながら、それを表示せずに配した動画が発覚してしまった。 カン・ミンギョン氏側は、映像画面にリンクボタンが表示されるため、PPLが含まれていると表示したと同様だと主張し、さらに、一番問題視された「おすすめ下着を紹介する動画」については、「動画制作している途中に案件の話をいただいた。始めは本当に愛用品として紹介していたが、その後企業から連絡を貰った」としながらも、問題発覚数日後には謝罪の文章を公開した。 テレビにはないユーチューブの良さの一つは、番組の背後に見え隠れするスポンサー企業の存在を気にせず、クリエーターが自由に商品を取り上げてレビューできる部分だ。しかし、それも崩れてしまうのだろうか。 テレビ業界の悪行がユーチューブにも また、よく韓国テレビ業界の悪行のひとつに挙げられる「悪魔編集」と呼ばれる事例も、最近ユーチューブで増え始めている。 韓国のテレビ業界でよくいわれる「悪魔編集」とは、インタビューなどのある一部分だけを切り取って、出演者を不利なように編集することを言う。編集によってイメージは良くも悪くもなるため、バラエティやオーディション番組などで、よく視聴者から制作側へ指摘や批判されることがある。 ところが、最近ユーチューブでもこの単語を見かけることが多くなった。最近ではプロバスケットチーム・ヒョンデモビースに所属するイ・ジョンヒョン選手がその餌食になったと注目を集めた。スポーツ専門ユーチューブチャンネルに出演したイ・ジョンヒョン選手は、発言を不利に編集され、4年前の新人ドラフトにて、あたかもそのチームに嫌々入ったような印象を受ける編集にされてしまった。前後の映像をカットし、ウケ狙いで口走った部分のみ強調したものを放送されたからだ。イ・ジョンヒョン選手は、それでも誤解を与えるようなひと言を言ったことは事実であるとし、「すべて私が悪かった」と謝罪している。 ===== 韓国のユーチューブ界と日本の違いの一つに、「テレビ番組がチャンネルを開設する」点がある。日本でも一部の番組は公式ユーチューブチャンネルをもってはいるが、日本よりも放送とネットの融合が進んでいる韓国では、番組の予告はもちろん、放送しきれなかったビハインド映像や、見逃した人のため放送分を10分程度に再編集してユーチューブで配信するケースも増えている。 怪我で歩けない犬を「仮病犬」と表現 2001年から続くSBSの人気動物番組「TV動物農場」は、番組の公式ユーチューブチャンネル「アニマルファーム」を開設し、こちらも登録者数335万名以上を誇る人気チャンネルとなった。しかし、今月1日次回放送の予告として、足を怪我して歩けなかった可哀そうな犬の物語を紹介する動画で「散歩に行きたくないからストライキ」「仮病犬」という馬鹿にした表現を使い面白おかしく編集した動画を配信し、視聴者から非難を浴びた。さらに、ストライキという労働者の大事な権利を、ギャグのように扱った表現方法にも不愉快な気持ちになったという声が多く寄せられた。 これまで長く続いてきたヤラセや偏った編集に嫌気がさし、ここ数年で多くの人が「テレビ離れ」となり、ユーチューブに移行してきた。それなのにもかかわらず、近頃ユーチューブでもテレビ業界がこれまで何度も経験してきたような問題が続発している。このような状況が発生し続けると、テレビ離れ同様に、そのうち人々が「ユーチューブ離れ」する日も近いのではないだろうか。 【話題の記事】 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見 ・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に   ※画像をクリックすると楽天ブックスに飛びます2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか ===== ハン・へヨンがPPLで商品1つ取り上げると3,000〜5,000万ウォンの収入 芸能人からの仕事の依頼も多いという人気スタイリストのハン・へヨンだったが......슈스스TV / YouTube スターの日常生活に溶け込ませたPPLも カン・ミンギョンがモクパン(食事の中継)をするとき、カメラは手首にある腕輪を写す。 彼女が散歩するときカメラはバッグを追いかける。 どちらもPPLだという。강민경 / YouTube