<新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴って、噂やデマを含め、真偽不明の情報が大量に氾濫した。その実態が調査された...... > 噂やデマを含め、真偽不明の情報が大量に氾濫して信頼すべき情報が見つけづらくなり、多くの人々に混乱や動揺をもたらす「インフォデミック」が、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴って深刻な社会問題となっている。「インフォデミック」とは、「インフォメーション(情報) 」と感染症の伝染を指す「エピデミック」を合わせた言葉だ。 このほど発表された研究論文によると、新型コロナウイルス感染症にまつわるインフォデミックが、人々の生命や健康をも脅かしていることが明らかとなった。 多くの噂や偏見、陰謀論が流布 バングラデシュ国際下痢性疾病研究センター(Icddr,b)、豪ニューサウスウェールズ大学らの国際研究チームは、2019年12月31日から2020年4月5日までの間、ニュースサイトやフェイスブック、ツイッターなど、オンラインプラットフォームで広まった新型コロナウイルス感染症に関する噂や偏見、陰謀論とその公衆衛生への影響について分析。一連の研究成果を2020年8月10日に「米国熱帯医学ジャーナル(AJTMH)」で発表した。 研究チームでは、北米、欧州、中国、日本を含め、世界85カ国25言語で2311種の噂や偏見、陰謀論を特定した。そのうち噂が89%と大半を占め、7.8%が陰謀論、3.5%が偏見であった。 1月21日から4月5日までに新型コロナウイルス感染症にまつわるインフォデミックの波が3回現れている。インフォデミックの第一波は、中国湖北省武漢市で感染が広がった1月21日から2月13日で、2月14日から3月7日までの第二波がこれに続いた。欧米で感染が拡大した3月8日から3月31日までの第三波は、第一波や第二波に比べて、より多くの噂や偏見、陰謀論が流布した。 メタノールを飲んで約800人が死亡、ウシの尿や糞が効くという偽情報も 噂は、新型コロナウイルス感染症の疾病や感染、死亡率にまつわるもの、予防策や治療法に関するものが多くみられた。予防策として「高濃度アルコールの摂取がウイルスの消毒になる」という偽情報がイランなど世界各地で広まり、新型コロナウイルス感染症の治療に効果があると信じてメタノールを飲んだ人のうち、5900人が入院、約800人が死亡し、60名が失明した。 インドではSNS経由の偽情報で多くの人々がウシの尿を飲んだり、糞を食べたりした。また、サウジアラビアではラクダの尿が治療に効くとする偽情報も出回った。他にも、ニンニクを食べる、暖かい靴下を履く、胸にガチョウの脂肪をまき散らすと予防に効果的などの噂が流布していた。 「深く息を吸って10秒我慢し、咳が出たり、息切れするといった不快な症状がなければ、新型コロナウイルスへの感染の可能性は低い」など、不確かな情報源に基づく自己診断法なども広く拡散された。 ===== アジア系住民への人種差別、ビル・ゲイツへの陰謀論...... 医療従事者への差別やアジア系住民への人種差別もみられ、家主や近隣住民らからの中傷や暴言、暴力が世界中で確認されている。「新型コロナウイルスは国際組織によって作製された生物兵器である」といった陰謀論も、中国、イラン、ロシア、英国、米国を中心に、世界各地に拡散された。また、ワクチンをめぐってもビル・ゲイツ氏が「ワクチンを利用して、膨大な数の人々にマイクロチップを埋め込み監視しようとしている」などと陰謀論の標的となっている。 ●参考記事 ワクチン陰謀論の標的にされるビル・ゲイツ氏 反ワクチン派がフェイスブック上での議論で優勢となっている理由が明らかに 噂や偏見、陰謀論による偽情報が科学的知見に基づくガイドラインよりも優先されれば、個人や社会に深刻な影響がもたらされかねない。 研究チームは「政府や地方自治体は、これらの誤情報が世界で循環するパターンを理解することが必要だ」と説く。また、政府や地方自治体がとるべき具体的な対策として、「科学的根拠に基づいた正確で適切な情報を公式サイトできちんと公開するとともに、正しい情報の流布のためにソーシャルメディアと連携すべきだ」と助言している ===== The spread of coronavirus fake news: What you shouldn't fall for | Covid-19 Special