<最近は活動資金を得るため外国人の誘拐などをしているイスラム系テロ組織の犯行か──> フィリピン南部スールー州の州都ホロ市内で24日昼、連続して2回の爆発があり陸軍兵士や警察官、市民ら少なくとも15人が死亡し、約70人が負傷する事件があった。地元警察や陸軍によると、2回の爆発はいずれも「即席爆発装置(IED)」によるものとみられ、爆弾テロ事件として捜査を開始したとしている。 フィリピンの各メディアは速報でこのテロ事件を伝えているが、現在もなお情報が錯綜しており、死傷者数については今後も増える可能性があるという。 24日午前11時53分、ホロ市ワレド地区セランテス通りにある食料品店「パラダイス」の前、「シンタックス・コンピューター・センター」の横に駐車していた陸軍のトラックの横でバイクが突然爆発したという。 目撃者などの情報では兵士を乗せたトラックが駐車した後に正体不明の男性がバイクを運転してきて現場に到着。トラックの近傍にバイクを駐車して去ったという。 兵士らがトラックから下車して周囲に集まっていたところ、突然バイクが爆発したという。 この爆発で「フィリピン・スター紙」電子版は兵士6人、警察官1人、市民4人の11人が死亡し、兵士18人、警察官6人、市民19人の少なくとも43人が負傷したと伝えた。また別のメディアでは少なくとも15人が死亡し、約70人が負傷したと伝えている。 軍関係者はバイクにはIEDとみられる爆弾が取り付けられており、運転してきた男が現場近くから遠隔操作で起爆させたものとみて、この男の行方を追っている。 またこの爆発から約1時間後の午後12時57分には最初の現場から約100メートル離れたマウント・カルメル大聖堂とゴテックレン・ビルがある付近で2回目の爆発があり、兵士1人が死亡し、兵士2人警察官6人が負傷した。2回目の爆発は女性が抱えていたIED(地雷などに簡易な起爆装置を取り付けた即席爆弾)を起爆して死亡した「自爆テロ」とみられている。 【話題の記事】 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か ・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる   ===== 「アブ・サヤフ」の犯行か フィリピン軍や治安当局によると、これまでのところ犯行声明はでていないものの、スールー州を主な活動拠点の一つとしているイスラム系テロ組織「アブ・サヤフ」が犯行に関わっている可能性が極めて高いとして、同州に展開する軍や警察部隊に警戒強化を呼びかけるとともに「アブ・サヤフ」のメンバー捜索作戦を始めたことを明らかにした。 「インクワイアラー紙」電子版は現場の目撃者の証言として「死亡した兵士らの遺体は四散するなど凄惨な状況で、ものすごい爆発音がした」とのことなどから相当に強力な爆弾が爆発したようだと伝えている。 同地域を管轄する陸軍西ミンダナオ方面司令官のコルレト・ビンルアン少将は地元メディアに対して「バイクに仕掛けたこのような強力なIEDを製造できる人物はこの地域には一人しかいない。それはアブ・サヤフの爆弾製造専門家のムンディ・サワジャンだ」と名指しで爆弾テロの背後にアブ・サヤフの存在を指摘して、サワジャン容疑者の所在を至急捜索するよう軍に命じたことを明らかにした。 また民放テレビ局は臨時ニュースの中で「現地の陸軍部隊関係者の見方として犯行声明はでていないが、こうした連続爆弾テロを実行できる組織で、自爆テロも実行する組織やメンバーはアブ・サヤフとみるのが妥当である」との見解を示したことを伝えた。 さらに兵士や警察官といった制服の治安当局者を狙うのも最近の「アブ・サヤフ」の手口とされ、犯行は「アブ・サヤフ」のメンバーによるともとの見方が確実視される状況となっている。 大統領府もテロを非難 ミンダナオ島やスールー諸島を活動拠点とする「アブ・サヤフ」は活動資金調達を目的とする誘拐や海賊行為を再開する可能性が指摘され、治安当局が警戒を強めていた矢先だった(関連記事:7月31日「比テロ組織が誘拐・海賊を再開か テロ専門家などシンポジウムで指摘」)。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-94082.php 連続爆弾テロの発生を受けて首都マニラの大統領府ではハリー・ロケ大統領府報道官が「最も強い言葉でこのテロを非難する。陸軍兵士を含めた多くの死傷者の家族に対して心からのお悔やみとお見舞いを表明する。現在捜査当局や軍が事件の背後関係を鋭意調査中である」と地元マスコミに述べた。また同時にホロ市周辺の一般市民に対し「テロへの警戒を緩めることなく、不審者や不審物を見たらすぐに警察などに通報するように」と協力を呼びかけた。 [執筆者] 大塚智彦(ジャーナリスト) PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など 【話題の記事】 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か ・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。 ===== 凄惨な爆弾テロの現場 連続爆弾テロについて伝える現地メディア ABS-CBN News/ YouTube 【話題の記事】 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ ・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か ・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる   ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年8月25日号(8月18日発売)は「コロナストレス 長期化への処方箋」特集。仕事・育児・学習・睡眠......。コロナ禍の長期化で拡大するメンタルヘルス危機。世界と日本の処方箋は? 日本独自のコロナ鬱も取り上げる。