<知事が非暴力を訴えても騒乱はやまず、ついに自警団がデモ参加者に発砲して死なせる事態に> ドナルド・トランプ米大統領は8月26日、ウィスコンシン州ケノーシャに連邦軍を派遣する用意があるとツイートした。ケノーシャでは警官が黒人男性に発砲した事件をきっかけに、毎晩抗議デモが行われている上、25日深夜から26日未明にかけてはデモ参加者を狙った銃撃事件が発生し、2人が死亡した。撃ったのは、「自警団」と称する武装した住民だ。 BREAKING: RIOTER HAS BEEN SHOT IN THE HEAD pic.twitter.com/l1NYqUYpD3— Drew Hernandez (@livesmattershow) August 26, 2020 銃撃の場面 「アメリカの街で略奪、放火、暴力が起き、無法状態になることを、われわれは許さない」と、トランプはツイート。ウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事もホワイトハウスのスタッフとの電話協議で連邦軍の受け入れに同意した、と付け加えた。 「今日、連邦の治安要員と州兵をウィスコンシン州ケノーシャに派遣し、法と秩序を回復させる」と、トランプは次のツイートで宣言した。 ホワイトハウスは26日、トランプはすでに1000人近い州兵と、約200人の連邦治安要員を召集したと発表した。 州当局の発表によると、エバーズは8月26日夜に地元警察を支援するため州兵500人の出動を認めたという。「知事は州兵と州警察による支援体制を増強するため、引き続き他州と調整を進めている」と、州当局は述べている。 知事は警官の暴力を非難 ケノーシャで抗議デモが始まったのは23日夜。29歳の黒人男性ジェイコブ・ブレークが背後から警官に撃たれる動画がソーシャルメディアに出回ったことがきっかけだった。ブレークの弁護を担当することになった弁護士のベン・クランプによると、ブレークは3人の息子の目の前で、背中に何発もの銃弾をくらった。一命は取りとめたが、深刻な障害を負う懸念がある。 デモは23日から毎晩行われ、ケノーシャは騒然とした雰囲気に包まれている。26日午前0時を回った頃、デモが行われている地区で銃撃が起き、2人が死亡、1人が重傷を負った。その日のうちに容疑者の17歳の少年が逮捕され、今週中にも起訴に向けた手続きが始まる見込みだ。 I interviewed the alleged shooter before the violence started. Full video coming soon: pic.twitter.com/G3dVOJozN7— Richie (@RichieMcGinniss) August 26, 2020 容疑者とみられる少年。事件前、「人々を守るために銃を取った」とカメラマンに語った エバーズ知事はブレークが撃たれた事件後、即座に声明を発表。「州や国の法執行機関の要員に撃たれたり、傷つけられたり、無慈悲にも殺された黒人、あるいは個人は(ブレークが)初めてではない」と遺憾の意を表明した。 知事はその後も市民には抗議する権利があると繰り返し述べると共に、平和的なデモを行うよう参加者に呼びかけている。 25日には知事は前日夜の騒乱で、「個人、家族、事業が危険にさらされた」とツイートし、非常事態を宣言した。 <参考記事>トランプの着々と進む「戦争」準備、ワシントン一帯に兵を配備 <参考記事>トランプが国民に銃を向ければアメリカは終わる ===== 知事は24日のデモの警備で、地元警察を支援するために州兵の出動を要請したが、警備の目的はあくまで重要なインフラを守ることであり、平和的な抗議運動やメディアの取材活動を妨害してはならないと釘を刺した。 24日に暴力が吹き荒れたため、25日にはケノーシャに投入する州兵を250人に増員。それでも銃撃事件が発生したため、その2倍の州兵が派遣されることになったとみられる。 記者発表によると、知事は容疑者逮捕の知らせを受けて、銃撃の「責任は厳しく追及されるべきだ」と述べ、デモ参加者に平和的な抗議に徹するよう改めて呼びかけた。 「私たちが目指すのは、ジェイコブ・ブレークをはじめ、公正な扱いを受けるべき多くの人たちのために、州と国の法執行機関がより公正かつ公平で、きちんと説明責任を果たすよう改革を進めることだ。混乱を起こそうとする少数の過激派の憎悪に満ちた行為によって、本来の目的から目を逸らされてはならない」と、知事は州民に訴えた。「お互いに持てる力、地域の力を引き出して、共に手を携えて州の秩序を立て直し、改革を進めていこうではないか」 【話題の記事】 ・中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......? ・地下5キロメートルで「巨大な生物圏」が発見される ・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他