<経済危機でレバノン国民の政府不信が止まらない一方で、ヒズボラとイスラエルの対立も激化> 先月、発生した大爆発で広範囲が破壊されたレバノンの首都ベイルートの港で10日、再び火災が発生した。一方、レバノン軍は南部国境を通過するイスラエルのドローンを撃墜したと発表し、緊張が高まっている。 レバノン軍は10日、ベイルートの港の石油とタイヤを保管する倉庫で発生した火災について、調査を開始すると発表した。 ミシェル・ナジャール運輸相代理は、今回の火災の発生場所は、先月4日に倉庫に保管されていた硝酸アンモニウム2750トンに火が付き、大規模な爆発が発生した地点からは「遠い」と説明している。先月の爆発では190人が死亡し、6500人以上が負傷した他、ベイルートの街が広範囲に渡って破壊された。 ナジャールの説明によると、これまでの調査では今回の火災は通常のメンテ作業によって発生したと見られている。先月の爆発についても、同様の原因だったとする見方が強い。 今回の火災はすでに鎮圧されたとみられる。しかし先月の大爆発でベイルートの住民はいまだに緊張状態にあり、次の爆発に備えて窓を閉めて有毒な煙を避けるべきか、衝撃波で割れるガラス片を避けるために開け放しておくべきか、逡巡している有り様だった。 レバノン国民の政府不信が増幅 ベイルートの港では先週、港の入り口近くでコンテナ4個分、4.8トンの硝酸アンモニウムをレバノン軍が新たに発見したばかり。 レバノンでは、長らく問題視されてきたインフラ設備の改善が進まず、新型コロナウイルスによって拍車がかかる経済危機もあって政府への不信が高まってきたが、先月の爆発への対応で政府に対する国民の不満はさらに増幅していた。 一方で国外からの脅威もくすぶっている。 ベイルート港で消防が火災と格闘するさなか、レバノン軍は南部のイスラエル国境に近い村アイタ・アル・シャーブ上空でイスラエルのドローンを撃墜したと発表した。 イスラエル軍も直後にこの事実を認め、「レバノン国境で作戦行動中だったイスラエル軍のグライダー式ドローンが、レバノン領内に墜落した」と声明を出した。「これによる情報流出の恐れはない」 <参考記事>【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に団結する中東諸国 <参考記事>ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される ===== レバノン軍はさらに、「イスラエルに所属する2機の戦闘機」が、南部国境付近から北部にかけて領空全域を侵犯したと主張した。 この件についてレバノン軍は、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に通報し、現在、確認が行われていることを明らかにした。 イスラエルとレバノンの国境をめぐっては過去数十年にわたって戦争や軍事衝突が繰り返されてきた。最近では昨年9月に、イランの支援を受けるイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとイスラエル軍の間でミサイル攻撃の応酬が起きている。 米政府はヒズボラと繋がる元閣僚2人を制裁 ヒズボラは豊富な武器を持ち、隣接するシリアまで活動を拡大している。そのシリアでは、イスラエル軍がイランとの関連が疑われる拠点に空爆を繰り返している。ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ議長は、今年7月にシリアの首都ダマスカス近郊でイスラエル軍が行った空爆によってヒズボラ戦闘員が死亡したことへの復讐を宣言している。 この空爆の後、イスラエルは2回に渡って、ヒズボラがイスラエルとレバノンの国境として国連が設定した「ブルーライン」を越えて侵入していると非難した。 米政府は8日、レバノンのユスフ・フィニアノス元公共事業・運輸相とアリ・ハッサン・ハリル元財務相の2人に対して、ヒズボラを支援しているとして米国内の資産凍結などの制裁を科すことを発表した。米政府は、ヒズボラをテロ組織として指定している。 ヒズボラはレバノン政府に強い影響力を持っており、このため米政府はレバノンへの長期的な支援に消極的になっている。 <話題の記事> ・【動画】タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム ・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死 ・老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます9月15日号(9月8日発売)は「米大統領選2020:トランプの勝算 バイデンの誤算」特集。勝敗を分けるポイントは何か。コロナ、BLM、浮動票......でトランプの再選確率を探る。 ===== <参考記事>【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に団結する中東諸国 <参考記事>ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される 【話題の記事】 ・【動画】タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム ・ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死 ・老化しない唯一の哺乳類、ハダカデバネズミ「発見」の意味 ・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず