<口座数、買い付け額とも増えているのは、年金2000万円不足問題などを契機に老後資金の確保に関心が高まったからとみられる> *この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2020年9月8日付)からの転載です。 つみたてNISAの利用が広がる 2018年1月から始まったつみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)。つみたてNISA口座からの買付金額が、2年目の2019年は1年間で2,044億円と1年目の2018年の931億円から倍増した。このように、つみたてNISA口座からの買付が1年で大きく伸びた要因は2つある。 まず一つ目として、つみたてNISAが多くの人に活用されるようになったことが挙げられる。つみたてNISAの口座数は2018年末の104万口座から2019年末には189万口座にまで増加している。つみたてNISA口座からの買い付けが実際に行われた口座数も2018年の61万口座から2019年は110万口座に増加した[図表1:左]。 そして2つ目は、つみたてNISA口座の1口座当たりの買付額が増加したことが挙げられる。つみたてNISA口座から買付額(全体)を口座数で割った1口座あたりの平均買付額は、口座数が大きく増えたにも関わらず2018年9万円から2019年は10.8万円へと1.8万円増えた[図表1:右]。買付が実際に行われた口座に限ると、平均買付額は2018年の15.4万円から2019年は18.7万円へと3万円以上増加した。1年間の買付額が20万円超の口座数をみても、2018年の17万口座から2019年は35万口座と2倍に増加しており、より高額の買付をした人が多く、かつ増えたことがうかがえる[図表1:左]。 30代、40代の活用が特に顕著 より詳しく年代別にみると、つみたてNISAは始まった当初から30代、40代の人を中心に活用されていることが知られていたが、2019年にその傾向がさらに強まったことが分かる[図表2]。 2019年に口座数、1口座あたりの買付額ともに30代と40代で大きく伸びた。買付が実際に行われた口座数(左)をみると、30代と40代の口座数は2018年でも他の年代に比べて大きかったが、2019年にそれぞれ10万口座以上増え、25万口座を超えた。また、1口座あたりの平均買付額(右)も2018年で30代と40代は17万円前後と全体平均の15.4万円を上回り、他の年代と比べて買付額が大きかった。それが2019年には更にそれぞれ4万円と全体の平均(3.3万円)以上に増え、30代、40代ともに1年間の1口座あたりの平均買付額が20万円を超えた。 最後に このように2019年につみたてNISAの活用が広がったのは、制度自体が2年目に入って周知されてきたことに加えて、やはり2019年6月の「年金2,000万円不足」問題によって老後の生活資金確保や資産運用に対する関心が高まったことが影響したと思われる。 ===== いずれにしても、つみたてNISAはこれから運用期間を十分にとることができる30代、40代といった資産形成層に広く活用されるようになりつつあるといる。2020年も既に上半期が終わり、金融市場は新型コロナウイルスの影響によってごたごたしているが、つみたてNISAなどによって長期の積立投資が資産形成層により一層、広がることを願っている。 まずは、2019年に買い付けが行われず未稼働であった80万口座の多くが2020年に活用されるようになる、もしくは既に上半期になっていることを期待したい。 なお、2020年3月末時点でつみたてNISAの口座数は220万口座と2019年末の189万口座から31万口座増えた。特に30代の口座数の増加が顕著であった。また、2020年1月から3月までのつみたてNISA口座からの買付額も757億円と、単純にこのままの勢いで買付が行われると2020年1年間の買付額が3,000億円を超えるだろう。口座の増加数、買付額ともに3月までは2019年を上回るペースになっているといえよう。 [執筆者] 前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ) ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員