<ホワイトハウスの新型コロナ対策タスクフォース元メンバーが語った、コロナの深刻さを隠蔽し自分の支持者すら馬鹿にするトランプの人格崩壊ぶり> ドナルド・トランプ米大統領の再選に反対する内部告発者のリストは長くなる一方だ。直近では新型コロナウイルス対策のタスクフォースでマイク・ペンス副大統領に仕えた元部下が、「トランプはアメリカの安全をぶち壊す」大統領と告発して注目されている。 この人物は、ペンスが率いる新型コロナ対策タスクフォースの主要メンバー、オリビア・トロイ。今回の告発は、最近の一連の告発と共に、トランプが米国民に対して新型コロナの感染拡大の深刻さを隠蔽した事実を裏付けている。 「トランプを支持しない共和党の有権者(RVAT)」が公開した最新の動画でトロイは、トランプ政権は少なくとも2月には新型コロナの感染がパンデミック(世界的大流行)のレベルに拡大する見込みであることを知っていた、と語った。 「新型コロナは当初はまったく予測不能だった。未知の部分がたくさんあった。しかし2月中旬頃には、新型コロナはアメリカで感染爆発するか否かではなく、『いつ』そうなるかの問題だということは分かっていた」と、トロイは語った。 「トランプの関心は大統領選」 「しかし大統領は耳を貸さなかった。なぜなら彼の最大の関心は、大統領選が実施される今年、新型コロナが自分の政治的成功にどう影響するかどうか、ということだったから」と、トロイは続けた。「大統領が『新型コロナなどでっち上げだ』とか、『すべてがうまく行っている』と言うのを聞いてショックだった」 9月に発刊された著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの新著『怒り』によると、トランプ自身、毎日実施されるスタッフの状況報告のなかで新型コロナの脅威を軽視していたことを認めている。トランプはウッドワードの取材に、新型コロナが「致死的だ」と認めながら、問題を「軽く見せたい」と語っていた。 トランプはある時、ホワイトハウスで行われたタスクフォースのミーティングで、「嫌いな人間たち」と握手しなくても済むという点では新型コロナは良いことだ、とほのめかしたという。それはトランプを信じてマスクもせずに集会に集まってくる支持者たち、トランプが気にかけているはずの人々のことだろう、とトロイは述べている。「トランプという人間がよくわかる」 トロイにとって、ホワイトハウスで働けるのは一生に一度のチャンスだった。毎日、全身全霊を込めて働いた。しかし次第に、自分が正しいことをしているのかわからなくなったとトロイは言う。「私が何をしようと、どんなに頑張ろうと、トランプがアメリカの安全をぶち壊してしまうからだ」 本誌の取材に対して、ホワイトハウスのジャッド・ディアー報道官は、トロイはトランプとの個人的なミーティングには出席していないと回答している。 ===== トロイは、これまでの人生でずっと共和党に投票してきたというが、今回の大統領選では民主党の大統領候補ジョー・バイデンを支持すると明らかにした。 「私はバイデンに投票する。今アメリカは憲法上の危機にあり、政党よりも国を優先すべきだ」とトロイは話している。 11月の大統領選を前に、多くの著名な共和党支持の政府職員が、トランプを批判してバイデン支持を公言している。 「現職大統領に仕える上級幹部がこれだけたくさん、再選に反対して対立候補を支持することはこれまでなかった」と、RVATの戦略部長サラ・ロングウェルは声明で述べる。「トランプを信用していた人たちも、政治家、指導者、そして個人としてのトランプにショックと恐怖心を抱いている」 ホワイトハウスは反論 一方、ホワイトハウスは、タスクフォース在任中にトロイは他のメンバーに懸念を示したことはなかった、と話している。 本誌取材に対してキース・ケロッグ副大統領補佐官(安全保障問題担当)は、「トロイ女史から直接、報告を受ける立場にあったが、彼女はタスクフォース在任期間を通じて一度も、政権の新型コロナ対応に関する懸念を上司に表明したことはなかった」と回答している。 ホワイトハウスが、トロイがトランプと直接には一緒に働いていないと主張していることについて、本誌はRVATにコメントを求めたがこれまでのところ回答はない。 トロイの告発についてペンスは記者団の質問に答え、「不満を抱えた職員がまた1人、大統領選の今年、政治的な行動を起こしているだけのように見える。私のスタッフも述べているが、ホワイトハウスのタスクフォースに在任していた期間は、彼女はこのようなコメントは一切していなかった」と話している。 <参考記事>トランプ姪の暴露本は予想外の面白さ──裸の王様を担ぎ上げ、甘い汁を吸う人たちの罪 <参考記事>「米コロナ致死率は世界最低」と繰り返すトランプの虚言癖 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。