<菅義偉新首相が誕生し、韓国の新聞各紙は韓国と日本の関係改善を期待する社説を掲載している......> 安倍前首相が辞任を発表した8月28日以降、韓国政府やメディアは日本の政権交代が日韓関係の改善に繋がると期待してポスト安倍に注目したが、安倍路線を継承する菅義偉前官房長官が浮上すると、改善は難しいという見方が広がった。菅義偉新首相が誕生し、韓国の新聞各紙は韓国と日本の関係改善を求める社説を掲載している。 菅前官房長官の首相就任が確定した9月15日、中央日報は、日韓関係の改善は難しいが、互いに開かれた姿勢で協力できることは協力し、積極的な対話で解決していくべきだと述べ、日本の新首相の就任は行き詰まった現状を打開する糸口になり得ると、関係改善を期待する社説を出した。 東亜日報は「菅新首相、安倍氏の陰から抜け出し韓日関係に新たな地平開け」という見出しで、菅新首相が韓日関係に新しい地平を開くよう望む。韓国政府は、最悪な韓日関係から抜け出す道を模索しなければならないという社説を掲載した。 一方、ソウル新聞は、新首相が韓日関係で安倍政権と同様の強硬路線を踏めば日本の孤立を招くだろう。未来指向的な関係構築を望むなら、菅時代の日本は変わらなければならないと論評した。 関係悪化の責任は、安倍前首相にあると国民を煽ってきた 韓国の政府やメディアは、日韓関係が1965年の国交回復以来、最悪となった原因が安倍晋三前首相にあると主張し、国民を煽ってきた。 昨年7月から日本製品の不買運動が広がり、観光業や航空業、日本製品を販売する韓国企業や日系企業で働く韓国人の被害が伝わると、韓国世論は「NO JAPAN運動」を「NO ABE運動」に切り替えた。 大統領制を採用する韓国は、大統領がすべてを決定する。憲法上は行政権と軍事権の長だが、事実上は立法権と司法権を含む四権の長として権限を握り、閣僚や官僚、さらに多くの国民が大統領に従うが、大統領が変わると人事はもとより政策も大幅に転換する。対日外交が180度転換することは珍しいことではない。 安倍晋三首相が辞任の意向を表明したとき、聯合ニュースが「『韓国叩き』主導の安倍首相が辞任へ 韓日関係好転なるか」という見出し記事を掲載し、韓国の与野党は日韓関係の改善を期待した。 一方、議院内閣制を採用する日本は、首相が替わっても政策が大きく変わることはない。国民世論も同様だ。韓国の大統領府や与野党、マスコミが日韓関係の改善に期待を寄せる中、外交部は、公式には日本の新首相や新内閣と関係改善に向けた協力を続けると発表したが、メディアのインタビューに対し、日韓関係に変化があるとは見ていないと話している。 与党・共に民主党の崔芝銀(チェ・ジウン)国際報道官は、韓国と日本の交易と経済のため、両国の対話と疎通が持続的に行われなければならないとし、日本政府のより前向きで責任ある姿勢を期待すると論評した。 保守系最大野党・未来統合党の金恩慧(キム・ウネ)報道官も、新首相が韓日関係により前向きな視線で臨む閣僚であることを願うとコメントしている。 ===== 対話を求める動きも 日韓関係が悪化している原因に文在寅政権の協定無視と合意破棄がある。18年10月、韓国の大法院が日本企業に対し、元半島出身労働者に金銭の支払いを命じる判決を下し、日本政府が日韓請求権協定違反だと抗議したが、文政権は司法の独立性を名目に放置した。翌11月には慰安婦問題日韓合意に基づいて設立された和解・癒やし財団を解散すると発表した。 イスラム過激派組織のISILや北朝鮮が使用した兵器に日本製部品が使われていることが明らかになり、韓国メディアが韓国政府の輸出管理体制の問題点を指摘した直後の19年7月、日本政府が韓国向け輸出管理の強化を発表すると、文在寅政権は大法院の判決に対する報復だと主張して日本製品不買運動が広がった。続いて韓国政府は「日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を延長しないと日本に通告し、関係が悪化した。 韓国政府を批判する声もある。与党・共に民主党の文喜相(ムン・ヒサン)前国会議長は駐米特派員出身ジャーナリストの会である韓米クラブの季刊誌「韓米ジャーナル」で、韓日関係の放置は百害あって一利もなく、両国民すべてに被害を与えると日韓両政府を批判した。朴槿恵政権下で国会議長を務めた鄭義和(チョン・ウィファ)氏も、日本を理解しようと努める姿勢が必要であり、日本より良い国になることが美しい報復だと語っている。 菅新首相が就任した9月16日、文在寅大統領と丁世均首相が就任祝いと対話を求める書簡を送り、外交部も談話を発表した。いっぽう菅首相は就任後の記者会見で中国とロシアとの関係構築に触れ、米国などと連携して拉致問題の解決に取り組むと話したが、韓国には言及しなかった。