<今ドイツ人がもっとも恐れているのは新型コロナウィルスではなく、アメリカの「トランプ大統領による政治」だということがわかった......> ドイツ最大の保険会社R+Vが28年間毎年行っている意識調査『ドイツ人の心配事』で、今ドイツ人がもっとも恐れているのは新型コロナウィルスではなく、アメリカの「トランプ大統領による政治」だということがわかった。1位のトランプ政治を恐れるドイツ人は全体の53%で、17位の「新型コロナウィルス感染や重病」の32%を大きく上回った。 また、パンデミックの年であるにもかかわらず、ドイツ人の一般的な不安感は今年、例年よりも下がったようだ。全体の「不安感指数」は昨年の39%から37%に下がっており、これは1992年に調査を開始して以来最低だった。数年前、過激派によるテロがヨーロッパで多発した時期などに比べ、2020年のドイツ人は比較的リラックスしているようだ。 意外に落ち着いているドイツ人 調査対象は14歳以上のドイツ人男女約2400人で、調査は今年6月はじめから7月末にかけて行われた。 出典:R+V-Infocenter "Die Ängste der Deutschen 2020" 2位以下10位まではそれぞれ「生活費の高騰」51%、「EU債務危機による納税者への負担」49%、「経済状況の悪化」48%、「自然災害・異常気象」44%、「外国人流入による緊張」43%、「難民のための国家の負担」43%、「食品内有害物質」42%、「グローバリゼーションによるパンデミックの頻発」42%、「老後のケア」41%となっている。 9位の「グローバリゼーションによるパンデミックの頻発」は2020年初登場だが、思ったより低い結果に関係者たちは驚いているようだ。パンデミックの年にもかかわらず、「新型コロナ感染など深刻な病気」に対する心配は17位の32%で、昨年から3%下がっている。他の同様の調査を見ても、自分またはまわりの人間が新型コロナウィルスに感染することを心配するドイツ人は全体の3分の1程度に過ぎないと、R+Vインフォセンター長のブリギッテ・レムシュテットは述べる。 ちなみに、このカテゴリーでもっとも不安を感じているのはやはり60歳位以上の年齢グループだが、一般的な疾患に対する恐怖(52%)のほうが新型コロナに対する不安(40%)を上回っている。 ===== 健康より経済への悪影響を懸念 ドイツ人の懸念はむしろ、パンデミックがもたらす経済的悪影響にあるようだ。2位の「生活費の高騰」51%は昨年の10位から8%増加し、過去6年で初めて「ドイツ人の7大恐怖」に再登場した。4位の「経済状況の悪化」48%も、昨年の14位から13%増え大幅に上昇した。 ドイツ人がトランプ大統領を恐れる原因は、その政治がもたらすドイツ経済への悪影響のようだ。 トランプがドイツ人の心配事1位となったのはこれで2度目だ。2018年の同調査では、調査開始以来最高値の69%が、トランプを懸念すべき存在と見なしている。 長年R+Vインフォセンターのアドバイザーを務めるハイデルベルクのルプレヒト・カール大学の政治学者マンフレッド・G・シュミット教授は、それを当然の結果だと指摘する。「トランプは彼の外交政策により、深刻な国際摩擦を繰り返し引き起こしている。特に顕著なケースは、中国との貿易紛争と、ドイツを含む同盟国に対する貿易と安全保障政策の攻撃だ。さらに米国の国際協力からの撤退、イランとの対立がある」と同教授は述べている。 難民・外国人への不安は減? 「政治家の仕事への不満」は昨年より7%下げ、40%の12位で、これは調査が始まって以来最低だった。新型コロナへの恐怖心が思ったより低いことからもわかるように、ドイツ国民はパンデミック下における政府の危機管理に比較的満足しているようだ。 2020年、それぞれ6位と7位につけている「外国人流入による緊張」43%、「難民のための国家の負担」43%だが、こちらは昨年よりそれぞれ12%、 13%下がっており、外国人に対するドイツ社会全体の恐怖感は下がった様相だ。しかし実際にはパンデミック発生に伴い外国人差別も増えており、現実との差も感じられる。