<台湾海峡を挟んだ米中の対立が激しさを増すなか、中国軍は「今日、戦争が始まったら中国はどう対応するか」の動画を投稿した> 米中の緊張が高まる台湾海峡でもし戦争が勃発したら、中国はどう戦うのか。中国軍の地域司令部は、緊急事態を想定した宣伝動画を公開した。 ソーシャルメディアサイトの新浪微博(ウエイボー)で動画を公開したのは、人民解放軍(PLA)の東部戦域司令部。冒頭に「もし今日、開戦したら...これがわれわれの答えだ」というタイトルが現れ、背景に流れる軍歌の歌詞が戦闘への準備が完全に整っていることを強調する。想像上の戦場で中国軍の兵士が走り、ミサイルを発射する映像が流れる。 人民解放軍は定期的にその軍事力をオンラインでみせびらかしているが、この最新のメッセージ動画が投稿されたのは、東部と南部の戦域司令部が中国本土と台湾を隔てる海域での演習を強化した、緊張の高まる時期だった。 中国政府は台湾を自国の領土と主張しているが、アメリカは台湾の自治政府に武器や軍装備品を売ったり高官を派遣したりして中国を怒らせた。アメリカと台湾の関係強化の兆しは、中国政府の強い反発を引き起こしている。 経済成長・エネルギー・環境担当のキース・クラッハ米国務次官が17日に台湾を訪れると、中国軍は治安状況の悪化という名目で人民解放軍の空と海の演習を開始した。 「国境」を40回侵犯 国防総省のジョン・サプル報道官は当時本誌に対し、「人民解放軍の攻撃的で不安定な反応は、現在の状態を変え、歴史を書き換えようとする継続的な試みを反映している」と語った。 「台湾や他の近隣諸国に対する強制の道具として軍事力をさらに多用するという中国の姿勢を意思の表れでもある」と、サブルは指摘した。「台湾の安全保障と、台湾人が自国の将来を自己決定する能力を維持することは、アメリカの重要な関心事であり、地域の安全保障にも欠かせない」 だが中国は台湾に対する警告を強化している。伝えられるところでは、中国の軍用機は、台湾海峡上にある中台間の境界線を約40回超えた。これに対し台湾軍は自国のジェット機を緊急発進。台湾国防相は、領土への侵入が認められた場合は「自衛と反撃」の権利があると主張した。 中国政府は台湾海峡における国境の存在を認めない。 中国外務省の汪文斌報道官は北京での記者会見で、「台湾は中国の不可侵の領土の一部であり、海峡を仕切る線はない」と語った。 汪は、中国政府を中国の真の代表と認める40年前からの「一つの中国政策」にアメリカが違反していると非難した。デービッド・スティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、18日の上院外交委員会の公聴会で、アメリカ政府が「一つの中国政策」を維持することを確認したが、アメリカは台湾の安全保障に責任があることも繰り返した。 ===== 米中の対立の激化とともに、台湾海峡の緊張も増してきた。 不公正な貿易慣行から人権侵害、新型コロナウイルスの感染拡大に至るまで、米中両国は非難合戦を繰り広げているが、最近は特に、東のインド国境や香港、東シナ海、南シナ海、台湾を含むアジア太平洋地域に対する領土主張を守ろうとする中国の姿勢が目立っている。 9月に発表された中国の軍事力に関する最新の米国防総省の年次報告書は、「中国は台湾問題を米中間で最も重要で危機をはらむ問題と見なし続けている」ことを明らかにした。 報告書は、軍事力で台湾を奪還する準備をしていると述べている。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は平和的統一の促進を主張したが、台湾支配のための軍事作戦も排除していない。 21日のFOXニュースとのインタビューで、ドナルド・トランプは米大統領は米中関係についてかなり強気の発言をしたが、台湾海峡における最近の中国の軍事活動にどう対応するか、具体的には明かさなかった。ただ、中国が「もし戦おうとするなら、中国は大問題を抱えることになる」と脅した。 習近平の建前論 トランプは21日にオンラインで行われた国連75周年記念総会には姿を見せず、代わりにチェリス・ノーマン・シャレー米国副常任大使代行が記念の言葉を述べた。習はトランプよりも柔らかいトーンで、75周年を記念する演説を行った。 習はアメリカに言及することなく、米中の対立について言及した。 「冷戦時代の考え方、イデオロギーの垣根、ゼロサムゲームは、国内の問題の解決策となることはないし、ましてや人類の共通の課題に対する答えにもならない」と、習は述べた。「私たちがする必要があるのは、紛争を対話に、強制を協議に、ゼロサムをウインウイン(共に利益となる)に置き換えることだ」 (翻訳:栗原紀子) <参考記事>中国外務省、発足初日の菅内閣に注文「日本が台湾と関係強化しないことを希望」 <参考記事>台湾訪問のチェコ上院議長「私は台湾市民」立法院で演説 中国「内政問題に干渉、強く非難する」 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます9月29日号(9月23日発売)は「コロナで世界に貢献した グッドカンパニー50」特集。利益も上げる世界と日本の「良き企業」50社[PLUS]進撃のBTS