<アメリカでは新型コロナウイルス感染の流行後、億万長者の個人資産が急増。これにより貧富の差がさらに広がっている...... > アメリカでは新型コロナウイルス感染の流行が始まった3月あたりから、億万長者の個人資産が急増している。これにより貧富の差が広がり、社会格差がさらに進んでいる。 米シンクタンクの政策研究所(IPS)が発表した「富の不平等」に関する最新の調査「ビリオネア・ボナンザ2020」によると、3月18日から9月15日までの間に、米国内で長者番付入りしている643人の資産総額が29%増加し、8,450億ドル(約88兆4600億円)に達したという。 この増加に伴い、純資産総額も2兆9500億ドル(約309兆円)から3兆8000億ドル(約398兆円)に増加した。これは月に換算すると1140億ドル(約11兆9000億円)、1日あたり47億ドル(約4900億円)の利益にあたる。 最も資産額を増やした大金持ちは? この643人の上位には、ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)やビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)など、誰もが知る顔ぶれが並ぶ。ほかにもマーク・ザッカーバーグ(フェイスブックCEO)、イーロン・マスク(テスラCEO)、ラリー・エリソン(オラクルCEO)、マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグ創業者、元ニューヨーク市長)、ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)など、錚々たる面々が名を連ねている。 この中でも感染拡大やロックダウンによる社会の変化の「恩恵」を最も受けている人物は、世界長者番付1位のジェフ・ベゾスだ。同氏の純資産総額2000億ドル(約20兆円)で、3月18日以降のこの半年で個人資産が732億ドル(約7兆6500億円)上昇したと報じられた。世界各地の都市でロックダウンとなり、eコマース利用者が増えたことで、アマゾンの株価は今年に入り60%以上も上昇した。その結果、ベゾスの保有資産も急増した。 「コロナ危機により誰もが打撃を受けた結果になると思ったのですが」とは「ビリオネア・ボナンザ2020」を調査発表した政策研究所のディレクター、チャック・コリンズ。「打撃を受けたのは、労働者層など中間層以下の人々だけ。つまり、パンデミックは人々の不平等に拍車をかけた」。 新型コロナにより、この半年でアメリカ国内では19万7000人以上の人々がで死亡し、5000万人以上が失業した。 米労働統計局による発表によると、コロナ禍以前は3%台(500万人台)だった失業率が、4月の時点で14.7%(失業者数2307万)まで上昇。経済活動が再開して以来やや回復し、8月の時点で8.4%に落ち着くなど、5ヵ月ぶりに10%を下回ったが、依然失業者数は1384万人と高い数値となっている。そして経済的打撃を最も受けているのは、貧困層および中産階級、そして社会的弱者だ。 ===== 閉店、廃業が加速する都市の小売・飲食業 一時の感染爆発地ニューヨークの街中を歩くと、ここ数ヵ月で空家がさらに目立つようになってきた。コロナ感染拡大以降、デパートや小商いなど小売全般の閉店、廃業が加速している。飲食店の閉店も今後さらに進んでいくと予想されている。飲食業界団体の最新の調査結果では、新型コロナの影響で来年1月までに州内の飲食店の約3分の2が倒産に追い込まれる可能性があるとされている。 クリントン政権下で労働長官を務めた経済学者のロバート・ライヒは、「アメリカの資本主義は軌道に乗っていない」と述べている。 Modern-day robber baron Elon Musk increased his wealth by $10.3 billion yesterday. At the same time, 30 million jobless Americans were denied $600 in benefits, 23 million have no health insurance, and 13 million are hungry. American capitalism is off the rails.— Robert Reich (@RBReich) September 15, 2020 2008年のリーマンショック時と比較しても「この半年の方が、対富裕層で経済的不均等が甚だしい」と政策研究所のチャック・コリンズ。行政が労働者階級を援助するために何らかのテコ入れ政策をしない限り「富の不均等」は今後もさらに進み、取り返しのつかないことになると警鐘を鳴らした。