<アメリカで警察による暴力が問題視され各地で抗議デモが続くなかの「誤作動」に批判の声があがっている> アップルの音声アシスタントSiri(シリ)に「テロリストはどこにいるの?」と聞いたら、警察署のリストを表示した――まるで警察官はテロリストだと言わんばかりだ。「こんなアルゴリズムを容認するアップルはひどすぎる」と怒るユーザーの動画がツイッター上に複数出回り、アップルに批判が寄せられている。 アメリカの複数の州と、さらにはオーストラリアでも、複数のユーザーが同じような経験をしたと報告している。 しかし本誌がイギリスで購入したiPhoneを使ってSiriに同じ質問をしたところ、返ってきた答えは「どうお答えしたらいいのかわかりません」だった。本誌ではアップルにこの問題について説明を求めたが、これまでのところ返答はない。複数のユーザーがツイッター上でアップルに注意を促そうと、「なぜこんな現象が起きるのか」と同社に問いかけている。 Siriについては、1月にも同じような問題が起きている。iPhoneユーザーがSiriに「ルーベン・リブリンとは誰か」と尋ねたところ、短期間だが「『シオニスト占領国家』の大統領です」という答えが返ってきたのだ。 イスラエルを「シオニスト占領国家」と呼べば、イスラエルを含む世界中のユダヤ人が怒り出しかねない。ウィキペディアを誰かが書き換えたために起こった症状だという。Siriはネット上に公開された情報に基づいて返事をしているので、こうしたことが起こり得る。 最悪のタイミング 原因は何であれ、今回はタイミングが悪過ぎた。アメリカでは黒人男性ジョージ・フロイドが白人警察官に身柄を拘束されて死亡した事件を受け、警察批判が高まっており、複数の都市で警察による暴力行為に抗議するデモが展開されている。5月にフロイドが死亡して以降、ポートランドでは毎晩デモが行われ、既に連続100日を超えた。 人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは、アメリカの警察が「とりわけ人種的・民族的少数派の人々、特に黒人に対して、衝撃的なほど頻繁に人権侵害を行っている」と非難している。各地の市長や州知事が警察改革の必要性を訴えており、民主党の大統領候補であるジョー・バイデンもそれに加勢している。 バイデンは、連邦政府の警察予算について条件を設けるべきだと主張。警察が「良識や公平さに関する一定の基準を満たしているかどうか、コミュニティーとそこに暮らす全ての人を守ることができると示せるか」を条件に、支援を行うことを支持するとしている。 ===== 一方でドナルド・トランプ米大統領は、自らを「民主党の攻撃から全国の警察を守る擁護者」と位置づけようとしている。トランプは「常に警察官を支持する」立場をとると宣言し、「法と秩序」を大統領選に向けた選挙活動の中止に据えている。 「アメリカは今、極左の過激な運動に悩まされている。彼らは我々の偉大な警察署の名誉を傷つけ、混乱させ、彼らの資金源を断ち、警察を解体しようとしている」と、トランプは8月の演説の中で述べた。 トランプはさらに、警察官たちは自分の身を守ることができないと彼らを擁護した。「彼らは反撃すれば年金を失い、人生が台無しになり、刑務所に入れられる羽目になるのだ」 デジタルアシスタントの間違いも、笑い話ではすまされない。 ===== <参考記事>【動画】Siri、英議会で国防大臣に「野次」 <参考記事>アレクサがまた奇行「里親を殺せ」 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます9月29日号(9月23日発売)は「コロナで世界に貢献した グッドカンパニー50」特集。利益も上げる世界と日本の「良き企業」50社[PLUS]進撃のBTS