<雇用回復には追加の景気刺激策が必要だが、大統領選前は望み薄だ。9月からは新型コロナ拡大後半年が過ぎて失業保険受給資格を失うアメリカ人も急増する> 9月24日に米労働省が発表したアメリカの新規失業保険申請件数は、市場予想に反して前週よりも増加した。景気刺激策をめぐる与党・共和党と野党・民主党の協議が難航し、失業保険の受給者が2600万人を超えている現状について、アナリストたちは米経済が「雇用な回復」状態にあり、いずれガス欠になると指摘している。 エコノミスト、民主党や連邦準備制度理事会(FRB)議長らは議会に対して、現在失業保険の給付を受けている2604万4952人の米市民を支援するための、包括的な景気刺激策を導入するよう促している。24日に発表された新規失業保険申請件数は、これまでの減少傾向から再び増加に転じ、13~19日の1週間の新規申請者は87万人にのぼった(前週比4000件増)。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生する前の、1年前の同期の申請件数はわずか21万5000件だった。 失業者の高止まりは危機のサイン だが小規模企業や失業者を支援するための追加刺激策の見通しは立っていない。下院民主党は24日、個人を対象とした直接支援や、連邦政府からの失業給付の増額などを盛り込んだ2.4兆ドル規模の景気刺激策を発表したが、与党・共和党やホワイトハウスがこの案を受け入れるかどうかは不明。 MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)の主任エコノミスト、クリス・ルプキーは24日、ロイターに対して「失業者数が高止まりしている事実は、アメリカがまだ危機を脱しておらず、政府高官たちがFRB幹部による追加刺激策の要請を聞き入れなければ、今後も危機が続くことを示している」と語った。「米経済はエネルギー不足のまま走り続けている状態だ」 労働省の24日の発表によれば、13~19日の1週間の新規失業保険申請件数は87万件と、前週の86万6000件からやや増加。これに対しアナリストたちの事前予想は84万件だった。 米経済はこれまでに、パンデミックの影響で失われた2200万件の雇用の約半分しか取り戻せていない。9月5日からの1週間に各種プログラムを通じて失業保険を受給した人(新たに申請した人と継続受給している人の合計)は、2604万4952人と、その前の週から372万3513人減った。2019年の同時期に失業保険を受給していた人の数は148万8601人だった。 ===== FRBのジェローム・パウエル議長は23日、ワシントンの議員たちに対して、落ち込んだ経済を立ち直らせるための対策を取り続けるべきだと呼びかけた。だが政治アナリストたちは、11月3日の大統領選前に議会でまとまった景気刺激策が可決される可能性はなさそうだと言っている。 バラク・オバマ前大統領の選挙参謀だったデービッド・アクセルロッドは、24日の労働省の発表について、ツイッターに次のようなコメントを投稿した。「選挙に関する大統領の常軌を逸した発言よりも、新型コロナウイルス感染症による死亡者が20万2000人にのぼっていることや、今週新たに87万人のアメリカ人が失業保険の給付申請をしたことについて議論すべきなのに」 8月に8.4%を記録した失業率は、今後緩やかに改善していくと予想されている。だが失業保険の給付を受けられるのは6カ月までで、9月には100万人が受給資格の期限を迎えた。 <参考記事>米中新冷戦でアメリカに勝ち目はない <参考記事>中国人民解放軍、グアムの米空軍基地標的とみられる模擬攻撃の動画公開 ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。