<これまで記録されていた時間を大幅に上回る222分(3時間42分)間、潜水し続けたアカボウクジラが確認された......> アカボウクジラ(赤坊鯨)は、クジラのなかで最も長く潜水する種だ。2014年3月に発表された研究結果では、哺乳類として最長となる137.5分(2時間17分30秒)にわたって潜水した。そしてこのほど、この記録を大幅に上回る222分(3時間42分)間、潜水し続けたアカボウクジラが確認された。 How long can a beaked whale dive for? アカボウクジラは体長6.7〜7メートル、重さ2〜3トンの中型のクジラで、円錐形の頭部とガチョウのような口吻が特徴だ。オスは下顎の先端に2本の歯があるが、メスには歯がない。深海に生息する魚類や頭足類などの餌を求め、最深2992メートルまで潜水することが知られている。 アカボウクジラが、3時間42分間、潜水し続けた 米デューク大学の研究チームは、個体識別用タグを装着したアカボウクジラ23頭がノースカロライナ州ハッテラス岬で2014年から2018年までの間、計3680回にわたって潜水したデータを分析し、2020年9月23日、その研究成果を学術雑誌「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・バイオロジー」で発表した。 これによると、潜水時間は最短で33分未満、平均で59分であったが、77.7分を超えたものが全体の5%を占めた。なかでも、「TzTag066」のタグを付けたアカボウクジラは、2017年に約3時間潜水し、その1週間後、最長となる3時間42分間、潜水し続けた。 これまでアカボウクジラは33分間の潜水に耐えうる酸素貯蔵が可能だと考えられてきたが、今回の研究成果では、従来の推定を超え、体内に貯蔵した酸素が減少し、嫌気性代謝を用いるようになるまで、平均で約78分間、潜水できることがわかった。 潜水時間と回復に要する時間には関連がないことも明らかに また、研究チームでは「潜水時間が長くなるほど、潜水による疲労の回復に時間がかかるのではないか」と考えていたが、潜水時間と回復に要する時間には関連がないことも明らかとなった。2時間の潜水で20分だけ休憩する個体もいれば、78分潜水した後、次の潜水まで、約4時間にわたって海面付近で少しもぐったり、海面から顔を出したりする個体もいた。 研究チームは、一連の分析結果をふまえ、「大量の酸素を体内に蓄積できることや、嫌気性代謝への切り替えに伴って筋肉で起こる乳酸の蓄積に耐える力が強いことと相まって、アカボウクジラの代謝は、非常に低い可能性がある」と考察している。 ===== Beaked whale shocks scientists with 3 hour 42 minute dive How long can a beaked whale dive for?