<第一波で各国が取ったコロナ対策は、お国柄を反映した「社会的実験」でもあった。ITの先進度や鎖国の徹底ぶり、プライバシーとデータ活用のどちらを優先するかなど、鍵を握った対策を国別に分析すると──。本誌「感染症vs国家」特集より> 中国 ・ 初期の情報隠蔽や初動の誤りで感染が国内全土、さらには世界に拡大 ・ 強制的なロックダウン(都市封鎖)で感染流行を短期に収束 ・ 軽症感染者専用の施設「方舟病院」を造り、効率的に医療崩壊と家庭内感染を防ぐ ・ ビッグデータで人々の行動履歴・接触履歴を掌握、遠隔医療で院内感染を防ぐ 韓国 ・ MERS(中東呼吸器症候群)、SARS(重症急性呼吸器症候群)など過去の教訓を生かす ・ 検査キットの迅速な開発と普及、 ドライブスルー方式など検査体制の拡充 ・ プライバシーよりも防疫優先。情報公開とデータ活用で接触者・追跡調査に成功 ・ 無症状者・軽症者用の充実した施設や、自宅隔離セットの無料支給で細やかなフォロー 台湾 ・ 政治と専門知識をつなぐ 対策、省庁横断での指揮命令系統の強化 ・ 感染者第1号発生前から対策に着手。発生後は直ちに中国本土からの入国禁止 ・ 唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当大臣主導のマスク供給システム、ITを駆使した感染経路把握 日本 ・ クラスター対策、「3密」対応が奏功 ・ マスク、手洗い、行動様式など日常的な感染予防の徹底 ・ PCR検査体制の拡充が課題 ニュージーランド ・ 国内発生前に中国からのフライト禁止。その後、入国禁止対象国を拡大して鎖国状態に ・ 世界で最も厳しいロックダウン。ほぼ全ての企業活動を中止 ・ 丁寧で明確な情報発信を続けたアーダーン首相のコミュニケーション能力とリーダーシップ イタリア ・ 流行初期に気付けず知らぬ間に感染拡大 ・ 濃厚な接触を好む文化、束縛を嫌う気質 ・ 医療予算不足、院内感染と医療従事者感染増加で医療崩壊 スペイン ・ イタリアの感染爆発を知りながら対応せず、初動に遅れ ・ 初期に政府も市民も新型コロナを軽視 ・ 医療従事者の大量感染 イギリス ・ 公衆衛生のトップ国家としてエビデンス重視で当初は極端な規制を行わず、初動で遅れ ・ 集団免疫戦略を提唱するが批判を受け方針転換 ・ 検査体制に不備、高齢者施設で感染拡大 ドイツ ・ 検査体制強化で早期発見・早期隔離 ・ 病床数・医師数などがもともと多い強固な保健医療システムで、死者数を最小限に抑える ・ ロックダウン後の迅速かつ手厚い経済支援で国民の不安を軽減 スウェーデン ・ 外出・移動・営業制限や休校を行わない独自路線を貫く ・ エビデンスに従った政策、情報の透明性と丁寧な現状報告で国民は支持 ・ 北欧諸国で突出した感染者・死者数、死者の9割が高齢者 ===== 劣悪な環境、医療不足、3密の条件がそろったファベーラ(スラム)で感染が広がったブラジル BRUNO KELLY-REUTERS イラン ・ 宗教行事、集会などで接触・飛沫感染拡大 ・ ロックダウンや規制、診療で中国モデルを積極的に採用 ・ 経済低迷に耐えかねた緩和措置で感染者が再び急増 イエメン ・ もともと内戦で国家が機能しておらず保健システムが脆弱 ・ 救命不可能な状態で救急搬送される患者が多発、世界平均の5倍以上の致死率 ・ 防護具不足や劣悪な労働条件で医療スタッフに感染拡大 アメリカ ・ 渡航者入国禁止や検査体制などの初動に遅れ、ニューヨークなど大都市で感染爆発 ・ トランプ大統領が新型コロナ軽視、専門家の提言を無視 ・ 連邦制の弊害によって統一的な対策が困難に ・ 経済・医療格差で貧困層と黒人に感染拡大 ブラジル ・ ボルソナロ大統領のコロナ軽視、厳格な措置を取らずに感染爆発 ・ 濃厚な人付き合いで社会的距離の取れない文化・気質 ・ 劣悪な環境、医療不足、3密という条件がそろうファベーラ(スラム)で拡大、死亡率上昇 資料:『人類vs感染症──新型コロナウイルス 世界はどう闘っているのか』(國井修・著、CCCメディアハウス) <2020年10月6日号「感染症vs国家」特集より> 【関連記事】コロナ対策に成功した国と失敗した国を分けたもの──感染症専門家、國井修氏に聞く ※画像をクリックするとアマゾンに飛びます10月6日号(9月29日発売)は「感染症vs国家」特集。新型コロナに最も正しく対応した国は? 各国の成功例と失敗例に学ぶ。