<英国の獣医による慈善団体PDSAは、命がけで人命などを救う活躍をした動物に、「PDSA金メダル」を授与している。今回は地雷撤去作業を行うアフリカオニネズミの「マガワ」が受賞した......> 犬が独占していた金メダル、ネズミが初受賞 カンボジアには、内戦時に埋められた地雷が、いまだに数多く残っている。撤去のための活動が現在も続けられているが、1匹の小さなヒーローがこのほど、カンボジアでの地雷撤去の活躍を称えられ、表彰された。 英国の獣医による慈善団体PDSAは2002年以降、命がけで人命などを救う活躍をした動物に、「PDSA金メダル」を授与している。これまで金メダルを与えられてきたのはすべて犬だったが、今回はアフリカオニネズミの「マガワ」が、地雷撤去作業におけるその「救命への勇気と職務への献身」を称えられることとなった。ネズミに金メダルを授与したのは、PDSA77年の歴史で初めてだという。 PDSAによると、マガワがカンボジアで地雷探知活動を始めて5年になる。これまで作業した広さは14万1000平方メートル、サッカーピッチにして22面分になる。見つけた地雷の数は39個、不発弾は28個に上る。 テニスコート1面分の広さで地雷を探す場合、人の手であれば金属探知機を使用して最大4日かかるところだが、優れた嗅覚を持つマガワの場合、30分で作業を終えられるという。 マガワは引退間近だが、PDSAによるとしばらくはカンボジアで作業を続け、引退したら残りの日々は、ケージの中で遊んだりのんびりしたりして過ごす予定だという。 化学物質のにおいを嗅ぎ分けるヒーローラッツ マガワを訓練したのは、ベルギーに拠点を置くAPOPOという慈善団体だ。大型で嗅覚の鋭いアフリカオニネズミを、地雷や結核感染者の探知に向けて訓練することを専門にしている。訓練はアフリカで行っており、マガワもタンザニアで生まれた。 マガワのような地雷を探し出すネズミは、ヒーローラッツと呼ばれている。ネズミは体が小さく軽いため、安全に地雷原を歩くことができる。地雷原にある金属くずには目もくれずに、地雷に使用されている化学物質を嗅ぎ分け、ハンドラーに知らせる。 PDSAによると、カンボジアには地雷が原因で手足を切断された人が4万人以上おり、これは人口あたりで世界最多となる。マガワが地雷を1つ見つけるたびに、人命1人救ったことになるため、マガワの活躍はカンボジアの人たちに直接的な影響を与えている、とPDSAは説明している。 同団体のジャン・マクローリン会長は英紙ガーディアンに対し、「カンボジアには、1975~1998年の間に、国中に推定400万~600万個の地雷が埋められ、悲しいことにこれまで6万4000人が死亡した」と述べた。 ===== コロナ探知ネズミとして活躍の可能性も? ところで、フィンランドのヘルシンキ空港では先日、犬による新型コロナウイルス感染症の検査がスタートしたが、マガワのようなアフリカオニネズミも、新型コロナウイルスを探知する「コロナ探知ネズミ」として活躍できるのではないかと考えられている。 ●参考記事 フィンランドの空港で犬の嗅覚による新型コロナ感染者検知がはじまった 新型コロナウイルスに含まれる化合物のにおいを嗅ぎ分けられるよう、ヒーローラッツたちを訓練できるのではないかと期待が寄せられているのだ。 前述の通りAPOPOはこれまでも、地雷探知目的のみならず、結核の探知を目的にアフリカオニネズミを訓練してきた。英紙テレグラフによるとタンザニアでは、病院で行う結核の検査よりも、アフリカオニネズミによる探知の方が、結核陽性者を40%多く見つけることができている。 ヘルシンキ空港で9月にスタートしたコロナ探知犬による検査では、無症状感染者や発症前の感染者でも新型コロナウイルスを探知できる。しかも、においをかいで判定するのに要する時間はわずか10秒。精度は100%だ。 APOPOのクリストフ・コックス会長は、「ネズミも新型コロナウイルスを探知するよう訓練できるのだろうか?という疑問は常にある」と述べた。しかし問題は、ネズミの能力をテストするのに十分な新型コロナウイルス感染者数がないことだという(ジョンズ・ホプキンズ大学のデータによると、10月2日時点のタンザニアの新型コロナウイルス感染者数は509人、死者数21人)。そのため、「答えはまだ分からない」としながらも、同会長は「犬にできるならネズミにもできるはずだ」とテレグラフに述べている。 HeroRAT Magawa is awarded the PDSA Gold Medal