<中国の台湾侵攻を防ぐための武器売却だが、中国はそれが台湾をますます危険な立場に追い込むと警告する> 台湾の独立をめぐって中国からの圧力が高まるなか、ドナルド・トランプ大統領は、台湾への大量武器販売を進めている。 トランプ政権は10月12日、以前から準備を進めていた7種類の武器の台湾向け売却計画のうち、3種類の武器売却について議会に通知した。このところますます強硬姿勢を強めている中国共産党に対して、台湾政府を支持するアメリカの姿勢を強調する動きだ。 3種の武器売却計画を議会に通知したことを最初に報じたのはロイターだった。同時に3種類の武器が、ロッキード・マーティン社の移動式ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」と、ボーイング社の空対地巡航ミサイルSLAM-ER、F-16戦闘機用の機外携行型センサーポッドであることも報じられた。 まだ議会に通知されていないが、高度なドローン、陸上対艦ミサイル、水中に設置する機雷などの売却も予定されている。すべては、中国軍の海からの上陸を阻止することを目的としている。ロイターによれば、情報筋は、残りの4種類の武器売却計画の通知も、まもなく議会に送られるだろうと語った。 ヤマアラシ戦略を支援 アメリカは長い間、中国政府からの度重なる抗議にもかかわらず、武器の販売を通じて台湾の独立を支持してきた。中国政府は、台湾に対するアメリカの武器販売が地域の平和を脅かし、台湾もより危険な立場になると繰り返し警告してきた。 アメリカ政府は台湾を正式に国として認めていないが、1979年の台湾関係法で、中国の侵略に対して台湾の防衛を支援するという暗黙の約束がある。 台湾は、国共内戦の終結以来、敗北した国民党勢力の最後の砦として独立を維持している。中国共産党はこれまで、外交的手段であれ武器の力であれ、「一つの中国」政策の一環として、台湾を支配下に置くことを目指してきた。 国家安全保障を担当するロバート・オブライエン大統領補佐官は先ごろ、台湾は防衛方針として「ヤマアラシ」戦略を採用すべきだと語った。「ライオンは一般的にヤマアラシを食べたがらない」からだと、オブラ中国をライオンになぞらえた。 議会の承認に向けて通知された 3種類の武器売却計画は、確かに台湾のヤマアラシの針を増やす効果があるだろう。中国が台湾を武力で支配するには水陸からの攻撃が不可欠で、人民解放軍は以前から公然とその準備をしている。今回売却する武器はどれも、中国軍から台湾を防衛するためのものになるだろう。 ===== HIMARSシステムは、1990年代後半から米軍が配備しているトラック型のロケットランチャーだ。オペレーターはすばやく敵に照準を定め、ロケット砲を集中的に反射して走り去ることができるため、敵の反撃を受けにくい。 誘導ミサイルの最大射程距離は約300キロで、海上の標的に対する実験にも成功した。米軍はアフガニスタンでの戦争やIS(イスラム国)と戦うイラク軍、シリアでISと戦うクルド人部隊の支援などにもHIMARSを使用してきた。 SLAM-ERは、陸海の標的を約270キロの範囲で攻撃することができる長距離空対地誘導ミサイル。すでにアメリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコ、韓国の軍隊に配備されている。台湾が保有するロッキードP-3オリオン海上監視機は、SLAM-ERを発射できる。 外部センサーポッドは、リアルタイムで画像とデータを地上管制局に転送する装置。台湾が保有するアメリカ製F-16戦闘機に取り付ければ、台湾軍は進行中の中国軍の動きを高画質の画像で確認することができる。 トランプ政権は今年8月、新型F-16戦闘機66機を台湾に売却する80億ドルの契約を承認した。台湾はすでにF-16戦闘機約140機を保有している。共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙、環球時報は、この売却計画を「新たなアメリカによる挑発であり、台湾問題における越えてはならない一線を踏み越えようとし、さらなる対立を危険にさらすものだ」と伝えた。 「対話では解決できない」 中国政府は、アメリカが地域の政治に干渉し、台湾を支援することによって戦争の危険にさらしていることを繰り返し非難してきた。中国共産党の国内の人権侵害や近隣諸国との領土紛争に対する懸念が高まるなか、米中政府間の非難の応酬は、新型コロナウイルス危機でますますとげとげしさを増している。 環球時報は11日の社説の中で、台湾政府を、「中国を封じ込めるためのアメリカの新たな政策に、全面的に足並みをそろえている」と批判し、蔡英文総統は「中国に対して徹底的に敵意を向けている。この問題は、もはや対話では解決できない。悪意ある勢力は、軍事的手段によって鎮圧される必要があるかもしれない」と述べた。