<実はバイクが大の趣味のマクレガーが、親友の俳優チャーリー・ブアマンと一緒にバイク大旅行を敢行> 俳優ユアン・マクレガーが、大親友と南米大陸を大型バイクでツーリング――。コロナ禍に疲れた2020年の世界が、まさに必要としている番組が登場した。 薬物依存の青年を演じて大ブレイクした『トレインスポッティング』から、『スター・ウォーズ』シリーズの伝説のジェダイ、オビ=ワン・ケノービ(青年時代)まで、数々の役柄で人気を博してきたマクレガーだが、実はバイクが大の趣味だという。 彼は親友の俳優チャーリー・ブアマンと共にバイクの大旅行を敢行。04年にはロンドンからユーラシア大陸を横断してニューヨークまで走破し、07年にはスコットランドから南アフリカのケープタウンまで旅した。そして今回は、アルゼンチンの最南端からロサンゼルスまで北上する(その様子は『Long Way Up:大陸縦断バイクの旅』として、アップルTVで公開中)。 とはいえ、04年とは時代も大きく変わった。今回2人がまたがるのは、電動ハーレー・ダビッドソン。カーボン・フットプリント(二酸化炭素排出量)を抑えつつ、壮大なバイクの旅に挑戦する。 ハーレーはその大爆音で知られるが、電動ハーレーに乗った2人はひっそりと町に入り、「充電させてもらえませんか」と住民に頼み込む。そんな旅を終えたマクレガーとブアマンに、本誌キャスリーン・レリハンが話を聞いた。 ――いつから2人は一緒にツーリングに行くほど親しい友達になったのか。 <マクレガー> 25年くらい前に、映画『悪魔のくちづけ』の撮影で知り合った。当時、2人とも娘が生まれたばかりでね。誕生日も1カ月違いくらいだったと思う。その上、バイク好きと分かり、撮影終了後に、アイルランドからロンドンまで一緒にツーリングして帰った。以来、競技場を貸し切りにして一般のバイカーと走ったり、レーシングチームを持ったりした時期もあった。 ――シリーズの第3弾をやることにした経緯は? <ブアマン> 仕事が忙しくて、しばらく疎遠になっていたけれど、数年前にユアンがイギリスで映画を撮影することになったとき、しばらく僕の家に滞在した。それでまたバイクの話で盛り上がって。 第3弾をやることはずっと頭の中にあった。ユアンはかねてから、中南米大陸縦断をやりたいと言っていたから、プロデューサーのラス・マルキンとデービッド・アレクセイニアンに相談したんだ。そのときラスが、電動ハーレーにすることを思い付いた。 ===== ――電動バイクの旅にしてみてどうだった? <ブアマン> 電化は世界のトレンドだ。それなのに電動バイクはあまり広がっていないし、本格的な旅は誰もしていなかったから、とてもいいアイデアだと思った。もちろん課題は多かった。どこでどうやって充電するか。いつ充電できるか。充電にはどのくらい時間がかかるのか......。 でも、バイクのプラグをつなぐことは、人々の生活にプラグをつなぐようなものだった。ガソリンスタンドで補給して、前に進むのとは大きく異なる経験ができた。最初はいろいろ大変だったけれど、最終的には旅をとても充実したものにしてくれた。 ――コロナ禍で多くの人が旅をできずにいるなか、自分たちの旅を公開することに決めたのはなぜ? <ブアマン> 僕らは昨年の12月18日に撮影を終えられた。本当にラッキーだった。 現代人は飛行機で移動することに慣れてしまったが、突然、それができなくなった。今は腰を落ち着けて、自分の身の回りのことや、ユアンと僕のような友情について考えるいい機会だと思う。視聴者が番組を見て、自分のアドベンチャーを計画する絶好の機会でもあると思う。 今回の旅では、サポート車両を出してくれたリビアン(アメリカの電動車メーカー)が(南米大陸に)150キロおきくらいに誰でも使える充電ポイントを設置した。だからコロナ禍が終息して、同じような旅をしたくなったら、アルゼンチンの南端からスタートできるインフラがある。 <マクレガー> そのいくつかは、ワシのように鋭い観察眼がないと見つからないかもしれないけどね(笑い)。 人々が番組を見て、僕たちの旅を自分の経験のように感じられることを願っている。計画も台本もなく、何が起こるか分からない旅だった。僕たちのヘルメットに付けたカメラと、やはり電動バイクに乗って同行したカメラマンのクラウディオ・フォン・プランタの撮影で、それをとてもリアルに感じられると思う。 世界には欧米とは大きく異なる生活様式や、異なる生き方がある。それはとても豊かで美しいものだ。この番組を通じて、そうしたものを経験してもらえたらと思う。 <本誌2020年10月20日号掲載>