新型コロナウイルス感染症に対し、回復した患者の血液を使用する、いわゆる「回復期血漿治療法」にはほとんど効果がないことが、インドで行われた臨床試験でわかった。 英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に23日付で掲載された論文によると、回復期血漿を用いて新型コロナ感染症患者に抗体を付与しても、死亡率の減少や症状の悪化抑制は見られなかった。 研究は、中程度の症状を示す成人の入院患者464人を対象に、インド全土で4月から7月にかけて実施。標準的な治療に回復期血漿治療法を併用するグループと、標準的な治療のみを施すグループに分けて経過を観察した。 7日後、回復期血漿治療法を使用したグループには息切れや倦怠感など一部の症状に改善がみられたほか、抗体によるウイルスの「陰性化」を示す率も高かった。ただ、28日以内に死亡率の低下や深刻な症状の悪化防止を示すとは言えなかった。 レディング大学の細胞微生物学の専門家、サイモン・クラーク氏は「臨床試験ではわずかにウイルスを減少させる効果が見られたが、患者を回復させるには十分ではなかった。つまり、臨床的なメリットはないということだ」と述べた。 一方、同じレディング大学のイアン・ジョーンズ教授(ウイルス学)は「臨床結果には失望したが、全くの驚きではない」と指摘。血漿は感染初期に極めて迅速に投与された場合にはより効果を上げる可能性があるとして、新たに感染が確認された患者を対象にこの研究を継続するべきだ、との見解を示した。[ロイター]Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます 【話題の記事】 ・強行退院したトランプが直面する「ウィズ・コロナ選挙戦」の難題 ・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ