<香港独立派の19歳の活動家が、米総領事館の近くで香港当局に拘束された。亡命申請にきたがまだ閉まっていたという情報と、申請したが拒絶されたという情報がある> 亡命を求めて米総領事館を訪ねようとした10代の香港の活動家が10月27日、近くの喫茶店内にいたところを香港の公安当局に逮捕されたと地元メディアが報じた。 英国を拠点とする活動グループ「フレンズ・オブ・ホンコン」はニューズウィークに対し、19歳の鍾翰林(トニー・チョン)が警察に逮捕され、鍾の自宅が捜索を受けていることは確かだと述べた。 現在は解散している香港独立派活動団体「学生動源」の代表だった鍾は、現地時間の午前8時10分に米総領事館に到着したが、まだ開館前だった、と香港紙「蘋果日報(アップルデイリー)」は伝えている。 総領事館が開くのを待つ20分のあいだに、鍾は25メートルほど離れた太平洋珈琲に入り、そこから学生動源に電話をかけた。その電話で公安当局者らしい人物に尾行されていると話したあと、鍾は「音信不通になった」と学生動源は述べている。 「鍾翰林は今朝(10月27日)電話をかけてきて、当局者に尾行されていると話したが、現在は中西区の上環にある警察署にいることが確認できる」。学生動源の広報担当者はニューズウィークにそう話した。「鍾の自宅は現在、捜索を受けている」 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は、鍾が「2人の男に挟まれ、店から連れ出された」とする模様を報じている。 匿名の警察関係者が同紙に語ったところによれば、鍾は、国家安全維持を担当する部署の捜査官に拘束されたという。香港警察に新設されたこの部署は、中国政府が6月30日に成立させた香港国家安全維持法(国安法)の執行を監督するためのものだ。 7月の逮捕でパスポートは押収 また、同紙はフレンズ・オブ・ホンコンのメンバーの話として、鍾が10人あまりの制服および私服の捜査官に連行されたとの情報も伝えている。 解散後も国外で活動を続けている学生動源は、フェイスブックへの投稿のなかで、元代表が「法律家による支援を受け」、「現在は弁護士が同席して供述を記録している」と述べている。 学生動源が別のフェイスブック投稿で述べているところによれば、鍾逮捕の6時間後には、同じく元メンバーである何忻諾と陳渭賢の2名も香港当局に逮捕された。2名は別々の警察署に拘留され、法律家による支援を受けたという。 鍾は7月、ほかの3人とともに、中国政府が成立させた国安法のもとで逮捕された最初の活動家になった。国安法は、分離主義、政府転覆、テロリズム、外国勢力との共謀を禁じている。鍾は、学生動源を通じて香港の民主化を訴えていた。 蘋果日報によれば、鍾は逮捕時にパスポートを押収されたため、香港を離れられなかったという。鍾は保釈され、10月27日に警察に出頭することを命じられていた。 ===== ロンドンを拠点とするフレンズ・オブ・ホンコンによれば、鍾は次に警察に出頭したら「戻ってこられないかもしれない」と危惧し、同団体に頼って米総領事館で亡命を申請しようとしていたという。 香港警察はその後、氏名を伏せたうえで19歳の男性を逮捕したと発表したが、この男性が鍾であるというのが大方の見方だ。 この男性には、「ソーシャルメディアで分離主義を扇動して」国安法21条に違反した容疑がかけられている。 香港とマカオを管轄区域とする在香港アメリカ総領事館の広報部は本誌に対し、本稿執筆時点で提供できる情報はないと話した。 (翻訳:ガリレオ) <追記>サウスチャイナ・モーニング・ポスト電子版はその後、鍾を含む香港の活動家「4人」が米総領事館に政治亡命を求めて駆け込んだが、米側に拒絶されたと報じている。 =====