<中台間の軍事的緊張がかつてないほど高まるなか、台湾軍の戦争準備は不十分でアメリカから購入した兵器も単なる金食い虫、警鐘を鳴らした> 台湾軍は中国と戦うには兵員が少なすぎるし装備も不十分だ、と引退した台湾軍の将校は最近のインタビューで主張した。「台湾軍の兵士は箒(ほうき)で戦えとでもいうのか?」と、この将校は訴えている。 シャオ・ティエン・リウ元中華民国陸軍少将が、台湾の戦闘準備に疑問を投げかけたのは、台湾の厳徳発(イェン・デファ)国防部長(国防相に相当)が、中国の武力による侵攻の際には約45万人の部隊を動員できると宣言した1週間後のことだった。 10月22日に開催された委員会で、厳国防部長は中国の人民解放軍が台湾海峡を渡って上陸しようとした場合、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は18万5000人の現役軍人を動員し、約26万人の予備軍を招集できると述べた。 だが国防省軍備局の調達責任者を務めていたシャオに言わせれば、それは「非常に困難な」作業になる。 中国語サイト中國評論通訊社(CRNA)に10月30日に掲載されたインタビューで、シャオはこれまでの経験から、予備軍は教育と訓練のために招集されても、応じるのは70%ぐらいだと語った。 「戦争のための動員令が出されても、軍は緊急に兵員を招集する手段を持ち合わせていない」と、シャオは述べた。「45万人の軍を編成するのは、とても難しい」 軍拡競争は「無意味」 もう一つ、兵器庫に保管された武器や装備の整理に台湾軍がほとんど注意を払ってこなかったことも障害になるだろう、とシャオは指摘した。たとえ軍が必要な規模の部隊を編成することができたとしても、兵士に十分な武器が支給できないかもしれない。 「十分な装備のないままに兵士たちを戦争に行かせるのか? 箒で戦えとでもいうのか?」と、CRNAのインタビューでシャオは語った。 シャオは台湾軍が「危機に対する意識」を高めるべきだと言い、将来の緊急事態に対応するために必要な「基本的な準備」の実施を強く求めた。 本誌は台湾国防省にコメントを求めたが、返答は得られなかった。 CRNAのインタビューで、国防省でアメリカの武器調達部門に関与していたシャオは、アメリカからの最近の武器購入を「底なしの金食い虫」と呼んだ。 2016年に初当選して以来、蔡政権はトランプ政権と9回の武器取引を行い、台湾としては記録的な予算を防衛用の軍備に費やしている。 シャオは、人民解放軍の莫大な軍事費を考えれば、中国政府との軍拡競争は「無意味」だと語った。「台湾がいくら金を使っても、この軍事的ギャップを埋めることは絶対に無理だ」 ===== アメリカの反中感情とトランプ政権のマイク・ポンペオ国務長官の支援に助けられ、蔡と与党民主進歩党(民進党)は、アメリカ、そして最近ではインドのような同盟国との関係を強化しようとしている。 アメリカの台湾に対する武器売却に、中国政府は憤慨し、公式および非公式のチャネルを通じて脅しをかけた。1990年代半ばの台湾ミサイル危機以来、この地域の軍事的緊張はかつてない水準に高まっている。 台湾の国家安全保障局の元情報部員で退役したリー・ティエン・トゥオ陸軍大佐は、中国の侵略には2つの行動が先行するとCRNAに語った。 中国政府はまず、台湾の特定の個人を「台湾独立派」を戦争犯罪人とみなし、そのリストを発表するだろう、とリーは予想する。その後、中国は台湾との全面的に断交する手段として、台湾と中国が2010年に締結した「海峡両岸経済協力枠組協定(ECFA)」を一方的に破棄する。そうなってからでは、もう間に合わないかもしれない。